人間が授かった大いなる才能、それは共感する力です。(メリル・ストリープ)
【考えるヒント】
今、教育の世界では、非認知能力なるものが求められている。最近特に、この言葉が宣伝されているが、この非認知能力は、新しい言葉だが、その中身は、全く新しくはない。テストでは測れない能力のことを言っているに過ぎない。簡単に言えば、現実的状況の中で、人間が、その状況に適応するための能力のことだ。そして、そのようなテストでは測れない、非定形な能力をつけていくことが教育の役割だと言われているのだ。
まあ、私から言えば、教育にそのような非定形的な能力=非認知能力を育成させる役割を与えること自体が、無理難題なことだと思うが、それはともかくとして、この非定形的な能力の中で、一番重要な能力は、何かと言えば、「共感力」ではないか。人間関係を上手く構築するためには、相手への共感は必須だろうし、現実的な問題を解決していくためには、何が問題なのかのアンテナを立てなければならないが、それは、人の痛みが理解できることがなければ、そのアンテナは立たないだろう。人間にとって、重要な能力の筆
頭は、「共感力」だと思う。
「己の欲せざる所、人に施すことなかれ」が成立するためには、自分と他人をつなぐ能力が重要だ。これが人間関係の基本だ。まさに、それこそが共感力なのだ。この共感力だけでも子どもたちに身に着けてもらいたい。ということは、この時代になっても、教育に何ら新しいことが求められているわけではない。ただ、衣装が変わっただけなのだ。そして、その衣装を変えることで、誰かが得をするということなのだ。
【考えるヒント・今日の言霊】
2021年12月13日(月)VOL.5349
作者:中土井鉄信(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)