我が身にうしろ暗いところが一つも無くて生きていく事は、不可能だと思いました。(太宰治)
【考えるヒント】
人間は、社会的な動物である以上、どうしても人間関係の中で、各々の利害を上手く調整しながら、生きていかなければならない。あっちではこう言い、向こうではああ言い、そして、ある時は、他人にへこへこし、ある場所では、他人に偉そうにしなければならない。嘘だって、嘘も方便というように、上手く使い分けなければならない。
だから、人間という動物は、清廉潔白でいることが非常に難しい。誰かに嘘をついているようなもんだ。しかし、それが、人間なんだ。多少の傷をスネに持っているものだ。それで良いのだ。
自分のスネに傷がないなんて言う人間は、神様か、面白い人間ではないか、それとも人間の自覚がないかの、どれかだろう。不完全だからこそ、人間なのだ。それで良いのだ。ダメなところがあってこそ、人間としての価値を持つ。完全を目指していくことも大切だが、完全になることが大切なことではない。そのことだけは、覚えておいてほしい。
【考えるヒント・今日の言霊】
2021年8月24日(火)
VOL.5270
作者:中土井鉄信(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表)