人間は決して目的のための手段にされてはならない。(カント)
あらゆる事物は価値を持っているが、人間は尊厳を有している。人間は決して目的のための手段にされてはならない。(カント)
【考えるヒント】
カントが「人間を決して手段にするな」というのは、人間に尊厳があるからだ。それでは、尊厳とは何か?それは、人間が代替不可能な存在としてあるということだ。代替可能な存在ならば、目的を達成する手段として有効に活用できるが、代替不可能な存在として人間がある以上、目的以外になりえない。変わりがないのだから、大切に対応しなければならない。それが、尊厳ということだ。
私たちは、この数十年、人間を手段としてみていたようなところがある。自分のために、他人を上手く使おうとしていた感がある。自分の欲望のために、他人を使って、自分の欲望を満たそうとしていた感がある。そして、それを自分で行うというよりも、他人が自分のために、率先してやってくれないかと期待していた感がある。そんな甘えた考えが世間には溢れているように思える。
私たちは、一人の人間として自分の尊厳を守り、他人の尊厳も守っていこう。自分の都合で、他人を動かすのは止めた方が良い。何かの引き換えに、人間を誘惑することもやめた方が良い。お互いが対等な人間として接することだ。
【考えるヒント・今日の言霊】
2022年2月24日(木)VOL.5397
作者:中土井鉄信(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)