「実践!タイムマネジメント研修」 曖昧な指示と決めつけが起こすこと
「仕事がいつまで経っても終わらない」「スケジュールがいつも押してしまう」
仕事をしていると、時間の管理の難しさをいつも感じます。
「実践!タイムマネジメント研修」は、時間を管理するための本質的な考え方について書かれた良書です。
その中でも、仕事をするうえで特に重要だと感じていることを紹介します。
人はあるだけ時間を使う
「パーキンソンの法則」とは「人は与えられた資源をすべて使って、その仕事を完成させようとする」という、人の性質をあらわした言葉です。
「与えられた資源」とは、「時間」であり「書類や作成するためのツール」なども含まれます。
たとえば、「1週間で〜についての書類を作ってください」と言われたら、人は1週間で作れるいちばん良いものを作ろうとする傾向にあります。
この考え方は適切でしょうか?
目的の言語化
「1週間で」という言葉の受け取り方を考えてみましょう。
この場合の「1週間」は「1週間という時間を使う」ことでしょうか、それとも「1週間後に完成していればいい」という意味でしょうか?
自分が依頼や指示をする立場だったらと考えてみましょう。
依頼や指示をするということは、その成果物が必要だということです。その成果物が必要ということは、どこかで使う予定があるということです。つまり、成果物には必ず目的があります。
目的を達成するために、どんなものが必要か確認しましたか?それはどの程度まで用意する必要がありますか?
曖昧な指示と決めつけ
「実践!タイムマネジメント研修」の中で「過剰品質」という言葉が何度も使われます。
品質は高くて申し分ないのだけれど、「そこまで求めていなかった」あるいは「求めていたものと違った」という状態のことです。
過剰品質の生まれる理由は「曖昧な指示と決めつけ」です。
解釈の幅が広い指示をしたこと、「きっとこういうことだろう」と決めつけたことが、本来必要でなかった成果物を、必要以上の時間をかけて作られる原因になります。
スケジュールが遅れる原因は「誰が」ではなく「コミュニケーション不足」
仕事は必ず「誰か」につながっています。指示をするものされるもの、クライアント、利用者やお客。
タイムマネジメントとは結局のところ、人と人がつながる接点をうまく調整することなのだと思います。
別の言葉で言い換えるなら、「期待値をお互いに理解すること」であり「仕事のスコープを決めること」です。
私たちは(ほとんどの場合)できるだけ良いものを作ろうと頑張ります。
しかし、「良いもの」の認識がズレていると、そのズレが過剰になりムダになり、予定通りに進まない状態を生み出してしまいます。
「実践!タイムマネジメント研修」は、タイムマネジメントがうまくいかない本当の原因を気づかせてくれる本です。
ストーリー形式で、タイムマネジメント研修に参加した主人公の目線を通して説明してくれるので、本を読むのがあまり得意でない人でも読みやすい構成になっています。
仕事をしている人、これから社会に出て仕事をしていくすべての人にとって、とても意味のあるオススメできる本です。
実践! タイムマネジメント研修: より少ない時間で、より高い成果を出すために 実践シリーズ (株式会社ポテンシャル・ディスカバリー・コンサルティング)