2020年度からの英語教育改革ってどんなん?子どもの英語力を伸ばすためにはパパやママも英語を勉強した方がいい?
日本人の英語力は世界(他のアジア人も含め)の中でも低いと言われています。
その理由の一部として、①日本は教育水準が高く、②経済大国であったためと考えられます。
①日本人は大学などの高等教育レベルにおいても、基本的には日本語だけで学ぶことができます。日本語で講義を受け、日本語に翻訳された(もしくは日本で研究された)学術書を読むことができます。
これは、普通のことに思えるかもしれませんが、世界では普通のことではありません。大学では英語で講義されたり、学術書は母国語で翻訳されていないこともあり英語で出版されているものを読む必要があったりします。
②日本は内需が大きく、国内で事足りるため、わざわざ英語を使用する必要がない人が多いです。
これらにより、英語を習得する必要性がないため、日本人の英語力は低かったと考えられます。
しかし、グローバル化の影響で日本人の英語力が低いままでは国力が落ちてしまいます。そのため、日本人の英語力を上げるため、日本の英語教育は教養としての英語教育からグローバル化に対応するためのコミュニケーション能力育成としての英語教育にシフトすることになりました。
コロナ禍でグローバル化が止まってしまっているようにみえますが、ウィズコロナ、アフターコロナはグローバル化はますます進む可能性があります。
コロナ渦で仕事においても学校の授業(大学など)においてもリモート化が進んでいます。これにより、遠隔地から仕事をする社員がいたり、遠隔地から授業に出席する学生がいたりします。
ウィズコロナ、アフターコロナは、このリモート化により、日本にいながら海外の企業の社員として働く人や、日本にいながら海外の学校(大学など)の学生として学ぶ人が増えるでしょう。
このようなグローバル化が進むことにより、英語需要はますます増え、英語力があるとチャンスは格段に広がります。
今回は、子どもたちの英語力を上げることにより彼らの将来のチャンスを広げたいと思っているパパやママに向けて、「2020年度からスタートした英語教育改革の内容」と「パパやママが子どもの英語力を伸ばすためにできること」について書きたいと思います。
1.2020年度からスタートした英語教育改革の内容
日本の学校では、使えない英語を教えていると批判を受けてきました。そのため、学習指導要領が見直され、2020年度から英語教育改革がスタートしました。グローバル化に対応するためのコミュニケーション能力育成としての英語教育に大きく舵を切ることになります。
改革の大きな特徴としては、英語教育は小学3年生から前倒しして行われ、「聞く」「話す」ことにも重きを置いた内容となり、「読む」「書く」と合わせた4技能をバランスよく養うことを目指す内容となることです。
また、「話す」は「話す(やり取り)」と「話す(発表)」の2領域に設定されます。「話す(やり取り)」は相手との会話をスムーズに行うことができるようになることを目標とし、「「話す(発表)」はプレゼンテーションなど大勢の前で分かりやすく話すことを目標とします。
さらに、成績においては、英語の知識(細かい文法等)を評価されるのではなく、英語を使って何ができるようになったかを評価されるようになります(新学習指導要領は、英語の知識を付けることが目的ではなく、英語でのコミュニケーション能力の育成を目的とするため)。
「小学校(中学年)」
これまで小学5・6年生で行われていた外国語活動(体験型学習としての英語学習)は前倒しされ、3・4年生で行われることになります。
外国語活動は、「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」を中心としたコミュニケーション能力の素地を養うことを目指しています。
外国語活動は早い段階で英語に慣れ親しむことを目的としていて、教科ではないため成績は付きません。
授業時間は週1コマ程度(年間35単位)で、授業は主に学級担任がALT(ネイティブスピーカー)等を活用しながら行います。
「小学校(高学年)」
これまで教科としての英語は中学校からでしたが、小学5年生から国語や算数のような正式な「教科」としての英語が始まります。そのため、成績が付きます。
「教科」としての英語では、小学3・4年生で行われていた「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」に加え、「読む」「書く」も含めたミュニケーション能力の基礎を養うことを目指しています。
英語が「教科」となることで、小学3・4年生では設定されていなかった習得することを目標とする英単語数が、小学5年・6年生では600~700語と設定されます(これまでの中学校3年間の目標英単語数1200語の約半分です)。
また、これまでの中学1年生で学ぶ文法事項が多く含まれる内容を前倒しで学びます。
授業時間は週2コマ程度(年間70単位)で、授業は学級担任が英語専門教員やALT等を活用しながら行います。
「中学校」
2021年度から、中学校での英語は、身近な話題について理解したり、表現したり、情報交換したりすることができるコミュニケーション能力を養うことを目指す授業に変わります。
また、互いの考えや気持ちなどを英語で伝え合う対話的な言語活動(ニュース記事について自分の意見を発表したり、仲間の意見を聞いたりして「話す」力を養う活動)を重視した授業を、原則としてオールイングリッシュで進められます。
中学校3年間での目標英単語数はこれまでの1200語から1600語~1800語に増えます。
さらに、これまで高校で学習していた文法事項が加わります。
これにより、英語の高校入試問題は難易度が上がることが予想されます。
「高校」
2022年度から、高校での英語は、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を総合的に扱う言語活動を総合的に高めると同時に、特に「話すこと」「書くこと」において発信力を強化する言語活動(プレゼンテーション,ディスカッション、ディベートなど)を中心とする高度な授業が展開がされます。
また、中学と同様に原則として授業はオールイングリッシュで進められます。
この英語教育改革に伴い、大学入試も4技能の能力を総合的に測るものに変更される予定で、従来よりも高いリーディング力、リスニング力、ライティング、スピーキング力が求められるようになります。そして、それらの基礎となるしっかりとした文法力が必要となります。
2.パパやママが子どもの英語力を伸ばすためにできること
英語教育改革により「話す」ことに重きを置く授業になるとは言えども、実際は「話す」ことに重きを置く授業を展開するのは難しいのが現状ではないかと思います(偏差値の高い学校ではオールイングリッシュで授業を進め、「話す」ことに重きを置くことはできると思いますが...)。
しかし、いずれはオールイングリッシュで授業を進め、「話す」ことに重きを置いた授業を展開する学校は増えるでしょう。
子どもたちは、その中で英語を学ぶことになります。英語は一度分からなくなると、なかなかその分からない状況から抜け出すことができません。分からないにも関わらずオールイングリッシュで授業が進められ、その上、高校になればプレゼンテーションやディスカッションまでこなさなければなりません(英語が苦手で嫌いな子にとっては英語の時間は地獄かもしれません)。
英語教育改革は、英語が苦手で嫌いな子どもにとっては窮地に追い込まれるものとなるでしょう。
子どもを英語が苦手で嫌いにさせないためにはどうすればいいのでしょうか。
子どもの英会話教室の時間を増やしたらいいのでしょうか...子どもの限りある時間のこと(英語以外の教科の勉強やクラブ活動で忙しい)を考えると、英会話教室の時間を増やすというのも、なかなか難しいでしょう。
さて、どうしたものか...
パパやママが家で子どもに英語を使用してあげることで、子どもの英語を使用する機会が増え、英語力を伸ばす助けとなります。
もし、パパやママが英語から遠ざかっていて、子どもに英語を使用してあげることが難しいなら、パパやママも子どものためにも英語学習を再開してみてはいかがでしょうか?
パパやママが英語学習を再開するメリットは家で子どもに英語を使用することができるだけでなく、パパやママが楽しそうに勉強している姿を子どもに見せることにより、子どもも英語を勉強したくなるという効果もあります。
(家で子どもに英語を使用してあげるメリットについては「知ってました?ママが英語を勉強するとメリットがいっぱいということを!」で書いています。)
3.最後に
以上、「英語教育改革の内容」と「子どもの英語力を伸ばすために親が家で子どもに英語を使用すること」について見てきました。
英語教育改革の内容から分かるように、子どもたちは高い英語力を求められることになります。高い英語力は一夜にして身に付けられるわけではありません。英語学習をできるだけ早い段階から始め、また英語に触れる機会を増やすことにより、英語に対する抵抗感をなくし、しっかりと力を養っていく必要があります。
そうすることで、学校の英語の授業で素晴らしい成績をとることができるだけでなく、グローバル化で生き抜くための高い英語力が身に付き、将来のチャンスを広げることに繋がります。
パパ・ママが家で子どもに英語を使用し(または英語学習を再開し)、子どもの英語を使用する機会を増やすことで、子どもの英語力の強化に一役買ってみてはいかがでしょうか?