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クソリプはなくなる?『論理国語』ってなに?

前回までのお話  

高校では2022年からの学習指導要領改定によって、『現代文』が『文学国語』と『論理国語』に分かれます。じゃあ、その『論理国語』って何ですか?

論理国語ってなんですか?

弘平谷:『現代文』っていう教科はかなり雑多なものだったんですね。評論文があったり、説明的な文章があったり、エッセイがあったり、小説があったり、詩とか短歌、俳句があったりっていうものだったんですけど、それが二つに分かれたことで、『論理国語』の方は、評論文と実用的な文書というのを扱うという風になったんですね。

 諸岡:え、実用的っていうのは、例えば…  

弘平谷:評論文、契約書であったり、法律の文章であったり、もっと身近なところでいうと取扱説明書とか、そういう方向性の文章を指しています。

諸岡:ああ、書いてあることを正確に読めるように。

弘平谷:そうですね。そういう風に解釈できますね。

諸岡:じゃあ、今の子どもたちは…契約書を…法律の文章を読めるようになる…。ああ、でもそれは、大事なことですよね。

弘平谷:大事なことですね。

諸岡:そして、私がすごく苦手なところ(苦笑)。

弘平谷:私もすごく苦手です。

クソリプはなくなる!?

諸岡:でも、そういう意味では論理国語ってちょっといいなと思ったのは、ツイッターとかでいわゆる「クソリプ」ってあるじゃないですか。そういうのが減る可能性がありますよね?誤読しない!

弘平谷:私は多分なくならないんじゃないかと思いますね、そういうクソリプ的なものって。

諸岡:おおっと。そうなんですかね。

弘平谷:ていうのは、論理的な思考力がどうのこうって言うよりも、その人の感情に関わるものがベースにあって、そう言うふうな拾い読みをして自分の物語を作っちゃうってことだと思うんですね。だから、なくならないんじゃないかなとは思いますね。

諸岡:そっかぁ…(涙)。

実用的な文章の読み書きはAIの方が上では?

諸岡:実用的な文書が読めるようになるっていうのは、すごく大事なことだっていう風に思ったんですけれども、むしろ、AIに取って代わられてしまうんじゃないか、その能力って、という感じがしちゃったんですよね。

弘平谷:実用的な文章って言うのは、解釈が一つに定まらないといけないわけですよね。法律の文書を読んで、別々の解釈をしてしまうというのはNGですし、ものすごく手近な実用文だと、料理のレシピなんかも実用文に入るんですけれども。

諸岡:ああ! 

弘平谷:じゃあ、目玉焼きか何か作ってみようというレシピがあったとして、それをある子どもがスクランブルエッグを作っちゃったり、ある子どもが卵焼きを作ったりということは、まあ、ありえないし、あってはならないこと。それがまあ、実用分の定義だと思うんですね。ただ、本当は文章というのはもっと多義的な解釈を認めるはずのものであるべきで、それがその実用文的な一義的なものになってしまうていうことで、その、一番コンピュータが得意とするところ、一つの意味を与えるっていう、A=Bみたいな数学的な発想のところに踏み込んでいってしまおうとしている。

文学国語を選択しなくなると…

弘平谷: 文学ってこれまである意味で情操教育を担ってた部分ていうのは少なくないと思うんですね。で、定番とされている教材っていうのが、高校だとずっとあって。芥川龍之介の『羅生門』という作品ですとか、あとは夏目漱石の『こころ』っていう作品とかあるんですけれども。

諸岡:はい。

弘平谷:まあ、定番教材を学ばないで社会に出ていく生徒たちが増えていくということになる。そうすると、ずっとこの国語の教育の中で使っていた教材を学ばないで出ていく。ある意味、共有財産だったのが、触れずに社会に出ていくっていう生徒が少なからず出てくるんじゃないかってことが言われていますね。

教科書は100万部の大ベストセラー

弘平谷:まあ、僕が今いる編集部の作ってる高校の国語の教科書。まあ、それは現代文もあって古典もあって、何冊か出してるんですけど、1年間でどれくらいそれが刷られていつかっていうと、100万部…ぐらいなんですよ。 

諸岡:ベストセラーですね。 

弘平谷:トータルにするとそれぐらいの数があるんですね。ちょっとゾッとするというか。

諸岡:確かに(笑)。

弘平谷:無責任ではいられないわけですね。

諸岡:そうですね。私も今、責任と言う言葉が真っ先に出てきました。やっぱり教科書を作っている人としては、教科書をしっかり読んでもらいたいと思います?

弘平谷:どうですかね。その辺実は、僕はまともに読んでもらわなくてもいいのかもしれないなっていうのは、ちょっと思ってたりもするんですけれど。

諸岡:!!

弘平谷:多分それは教科書というものの捉え方だと思うんですけど、学校で授業を受けて、高校生がそれをベースに勉強してくるって、もちろんそれは当然そうなんですけれども。まあ、大人になってから教科書に何が書かれていたのかっていうことを、発見するというか。自分が年齢を重ねるに従って、そこから読み解くものって全然変わっていくじゃないですか。 

諸岡:そうですね!本当に年齢で変わりますよね。 

弘平谷:そうそうそうそう。だからそういう意味でも、教科書の文章に載ってる意味っていうのがその時にわかる必要はないんじゃないかな、もちろん高校生にわかってもらいたいとは思うんですけれど。  

教科書を読めない子どもが増えている?

諸岡:ちょっと前によくニュースでやってたんですけど、日本の子どもの読解力が落ちて、教科書が読めない子どもがいるっていう風に言われるようになってきたんですけども。

弘平谷:読解力が下がっていると言うことを、僕はあんまり信じてなくって。 

諸岡:へえ。  

弘平谷:ちょっと込み入った話になっちゃうかもしれないんですけれど… 

諸岡:はいぜひぜひ!  

弘平谷:日本での読解力が下がってるって言われているのが、PISAって呼ばれるOECD(経済協力開発機構)がやっているテストなんですが。 

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弘平谷:確かに相対的には下がってるのかもしれないですけど、日本人の子どもたちが本当にそれで下がってるって言えるのかはわからないですね。もしそれが本当に下がってるんだとしたら、いくつか原因はあるかもしれないんですけど。 

というわけで次回は、読解力が下がったと言われるそのワケについて、頭をヒネっていきます!

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