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思考力を鍛える適塾の方法と現代の課題

私が塾で指導する中学生向けの「特進クラス」には、モデルとして福沢諭吉が通った適塾を採用しています。

適塾では共同生活が営まれ、教える者と学ぶ者が互いに切磋琢磨し、昼夜を問わず勉強に徹していました。西洋医学を学ぶ生徒たちは黙々と勉強に打ち込む姿勢を持ち、高い給料を目指すのではなく、純粋に学問を修行として捉え、深い理解力と判断力を育てていました。

「終始我が身の先ばかり考えているようでは、修行はできなかろう」

と言わせたのも、この適塾です。

適塾の教育哲学のように、私たちも勉強に真剣に取り組むべきです。継続的に取り組むことでメンタルが鍛えられ、このメンタルが胆力となります。胆力は学習の質を高め、未知の問題に立ち向かう力や閃きを生み出します。この胆力を鍛えることは、学習の最優先事項であると私は考えます。中学生の成長期に、この力を培ってほしいと願っています。

一方、答えを速やかに得ることだけを追求する受験生の問題は、社会問題となっています。以前、ある進学高校の数学教諭も、生徒たちが深く考えず、即座の正解だけを求める姿勢に悩んでいたことを思い出します。予備校の進路指導の担当者も、このような取り組み方は思考力の低下を招くと危惧していました。私もその意見には賛成です。

自分自身で考え抜き、困難を乗り越える経験は、将来の基盤を築きます。現実の社会で奮闘している多くの大人たちも、この経験の価値を理解しています。

しかし、現在の日本の経済や社会状況、特に円安や物価上昇、鈍化する経済の中で、実際の社会とのギャップを感じる学校教育が増えています。既存の方法だけでは対応しきれないこの時代に、適塾のような学びの場が求められています。私は、自らの力でイノベーションを起こす能力を育てる場として、この役割を果たし続けたいと考えています。

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