働く喜びは歌舞伎、武道の「型」に秘密がある。
#日本 と #西洋 の #資本主義 の #精神 について #考え をまとめてみた。
舞台、渋谷金王丸伝説、無事終了しました!
この舞台は7年前に渋谷区の伝承ホールのこけら落とし公演として始まった、渋谷区の事業で、応募者の中から選考の末に選ばれた一般市民が3ヶ月ほど稽古をし、市川染五郎さん、尾上菊之丞さんと共に舞台に立ちます。
浮世絵の翻訳の仕事をしていたので、自分の身体で「傾奇」を表現することが出来て、とっても嬉しく思います。
「見得」や「六方」など、歌舞伎の型がダンスの中に盛り込まれているのですが、歌舞伎の型は体幹から同心円状に組み立てられていて、無理なく大胆に身体を動かす事が出来るように設計されています。
型の3つのメリット
1,素早く動ける
武道をやっていた方なら、「型」の快感についてご存じかと思いますが、
「型」があると、考えないで素早く動くことが出来ます。
社交ダンスやフォークダンスなども、ステップを覚えれば、曲がどんなに速くなっても綺麗に踊れますよね。
「型」が身についていると、覚えるより先に身体が動く領域に行けるので、基本速度も上がり、ハプニングに対処する瞬発力も付きます。
2,疲れずに動ける
「茶摘み歌」「酒造り歌」などの「仕事歌」に代表されるように、日本人は楽しく、無理なく、結果的に効率的に仕事することを「美徳」としている風潮があります。
型があると、疲れずに沢山の仕事が出来るので、特に農作業などの肉体労働では1日の仕事が大体決まっているので、それを早く終わらせることが出来ますよね。
仕事を早く終わらせると何が出来るのか。炊事、裁縫、縄ない(わらを編むこと)など家の仕事をする事が出来ますし、村の集まり(地域のこと、火消し、農業、祭りなど様々な集まりがありますね)に参加したり、歌を詠んだり、本を読んだり、書をしたためたりといった趣味の文化活動を行うことも出来ます。
国立近代美術館の企画展、「安田靫彦(やすだゆきひこ)展」に行ったときに「昔の人は生活を飾ることにかけては今の人の何倍も上手だった」という言葉を目にして思ったのですが、日本人っておそらくお金の貯蓄の風潮はないけど、多分時間の節約の風潮はあったと思うんです。
そして、「楽しく時間を過ごそう」ということにかける情熱は誰にも負けなかったと思うんです。
日本の和歌と漢詩は、作るスピードが全然違うと言います。
漢詩は「漢詩表」のようなものがあって、音韻や対句など、言葉の組み替えで、いくつものパターンを作る事が出来ます。
対して、和歌は575、俳句は季語の使用など、なんとなくのルールはありますが、基本的に無限に近い言葉から、自分の感覚にはまる言葉を選び表現するので、歌作りに終わりがなく、推敲にも時間がかかります。
こんなに効率的に動く日本人が、なぜ、歌作りは効率的に行わないのか?
答えは、「その時間を楽しむため」だからではないでしょうか。
茶道なども、あえて時間をかけて茶を味わうために設けられた作法ですよね。
人生は儚いから、何かを自分の人生で表現する。
台風、火事、飢饉など、天災が多い地理気候だからこそ、四季や喜怒哀楽を味わい、楽しみを作り出す風土、そして仕事を早くこなす風土が生まれたんじゃないでしょうか。
3,別の人格となって動ける
型があると、大胆になれたり、ひょうきんな事を表現したり出来ますよね。
太極拳に「虎のポーズ」と「猿のポーズ」があるのですが、「虎のポーズ」と「猿のポーズ」をするときには明らかに心の感覚が変わります。
虎になるときは勇猛に、猿になるときは軽快に。
自分を超えた何かになれるというのを「演じる」より素早く出来るのが「型」ですね。
また、「型」は自分一人でなく、集団で行うことも出来ます。
盆踊り、阿波踊りなどを考えて頂く、みんなで「型」を行うパワーをイメージしやすいかと思います。
動きに統一感が生まれ、「みんなで一つの生き物」になったような感覚になる事が型のパワーではないでしょうか。
日本と西洋の資本主義の精神
ウェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で明らかにした、キリスト教の「神のために勤勉である結果、蓄財しても良い」という思想は、明らかに日本には当てはまりません。
日本はキリスト教が倫理基本じゃないからね。
じゃあ何が勤勉に働く思想を牽引したかというと、「働く喜び」なんじゃないかと思います。
「みんなで一つになること」は個体の人間にとって悲願でもあります。
それを成就できることは「喜び」であり、身体的「快感」を伴います。
(誰かと同じ動きをすると、脳がシンクロの快感を感じるようになっています)
誰かと働くことを共有する「型」があるからこそ、「働く喜び」を得やすかった。
それが、資本主義の、「働くほどお金が儲かる」というサイクルと合致した結果、今の日本があるんじゃないでしょーか。
歌舞伎の型を3ヶ月やっての結論は、
体幹が鍛えられて美容健康にもいいし、声を出したり、手足を広げたり、普段の人格ではやらない身体のポーズを取るから楽しいぞ!
歌舞伎エクササイズ、流行ると思います☆
今日も良い一日を祈っています。
まな蜜柑より。
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