天鏡に安積、そしてアードナッホーの初めてのシングルモルト…
風邪をこじらせて琵琶湖クルーズに行くことができなかったが、仕事は山のようにあり、土曜日一日寝ていただけで、先週日曜からは再びコニサー教本の校正と、ガロアの原稿書き。処理しなければならない案件が山のようにあり、風邪を治すこともできない。
そんな中、15日の水曜日には午前中の新幹線で福島の郡山に行き、そこから用意されたバスで天鏡蒸留所へ。まずは蒸留所の内覧会に参加し、その後、裏磐梯のレイクリゾートホテルに。チェックイン後、すぐに午後4時から宴会場で、天鏡蒸留所の竣工祝賀会行事に出席。まずは天鏡・リオンドールの小池社長の挨拶につづいて、私と元サントリーの輿水さん、目白田中屋の栗林さんの3人でトークショー。それぞれが、今は亡き小池駿介さんとの思い出を語り、そして、俊介さんがスコットランドから運んできた“風のウイスキー”の1.5年、2.5年、3年熟成のブレンデッドを飲み、語り合う。
これはスコッチの5蒸留所の原酒をそれぞれニューポットで日本に持ってきて、24種、189の樽に詰めて天鏡で熟成させていたもの。いわば、これからの天鏡のウイスキーをシュミレートしたもので、樽熟成とそのブレンドについては、輿水さんのコンサルが入っているという。驚いたことに、輿水さんは月イチくらいのペースで駿介さんにブレンド技術を教えていたのだとか。
風はまさにスコットランドからの風であり、会津、猪苗代湖、そして磐梯山に吹く風でもあり、駿介さんはその風に舞う鷹が大好きだったという。ちょうど訪れた日は、そんな天鏡の空に、一羽の鷹が舞っていた…。トークショーの後、ホテルではそのままパーティーとなり、そこでも参加者に風のウイスキー4種が振舞われた。私のテーブルは輿水さん、栗林さんと同じだったが、驚いたことに同じテーブルに懐かしいアラン・ウィンチェスターさんの顔もあった。アランさんと会うのは15年ぶりくらいだが、元々はシーバスの製造統括であり、ブランドアンバサダーでもあった人物だ。
風邪がよくならず、2次会の途中で退席させてもらったが、翌日は再び天鏡に行き、さらに榮川酒造も見学。その後、郡山まで車で送ってもらい午後2時にこんどは笹の川の安積蒸留所へ。あいにく山口社長は不在だったが、奥さんの敏子さんの案内で3年ぶりに蒸留所を見せてもらい、さらに新しくできたばかりのスペシャルツアーのテイスティングルームへ。ガラス張りの壁の向こうに2基のスチルを見ることができる。さらにここでは自分だけのオリジナルブレンデッドモルト、ブレンデッドウイスキーをつくることができ、それを200mlのボトルに詰めて持ち帰ることができるのだ。
さっそく私もやらせてもらったが、私の場合はグレーンを入れないブレンデッドモルト。それをレシピ通りに調合し、自分で瓶詰め、手書きのラベルを貼っておみやげにすることができた。しかも、このパッケージが凝っていて、外箱はまさに書物。ブックレット型で、そのまま本棚に入れておけるようになっている。いつか、安積と天鏡をセットにした、ウイ文研、コニサークラブのツアーをやってみたいと思っている。
16日の夕方は、新幹線で東京にもどってきて、17日の金曜日は朝からコニサー教本の校正、たまったミーティングをこなし、夕方5時半に日本橋のジャパンインポートシステムに行き、そこで6時から田中社長と私の2人でオンライントーク。アイラ島のアードナッホーの初のシングルモルトについて、グラスゴーのハンターレイン社の会議室と、アイラ島のアードナッホー蒸留所を結び、3元中継ライブ放送で、初めてのアードナッホーの5年物のボトルをトーク。
風邪が完治しておらず、香りはイマイチ分からなかったが、飲むと5年物とは思えないくらいリッチでスムーズ。バランスも悪くなく、ピートがしっかりと効いている。全世界7万5000本、そのうち1割くらいは日本に持ってくるというから楽しみだ。アルコール度数もOMCと同じ50%に統一されているのもスゴイ。ボトル上部のロゴは、蒸留所から見えるジュラ島のパップス山をあしらっているのだとか。海はもちろん、アイラ海峡だ。
ということで、風邪が完治しないまま仕事つづきで、この土・日も恵比寿の仕事場でコニサー教本の校正、次号ガロアの原稿書き…。日曜は東京と大阪でウイスキーエキスパートの試験が行われたが、私はパス。ひたすら原稿を書きまくる。これではいつになっても、風邪は治らない…。