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淹れたてのコーヒー

先週から、予定外なことが立て続けに起こって、やや疲弊していた。
書くことも面倒だなと思うほどで、自分でもちょっといつもと違う感があった。
でも、それでも日常は続くわけで、ともかく揺れる日常を平穏なものに少しずつでも戻すべく、いい意味で機械的に行動しようと努めている。

週に一度は通っているカフェに、開店と同時に到着。
朝一ということもあってか、「コーヒーの抽出に5分少々お時間いただきます」と言われる。
席に座り、レモン水を飲みながらボーっとしていると、予想よりも早く、フードコートにあるような呼び出しベルが急に近くでパトカーのサイレンが鳴ったみたいな音量で鳴ったので、びっくりして立ち上がる。
号令がかかったわけでもないのに、それはそれは見事な起立であった。

マグカップになみなみと注がれたコーヒーをひとくち。
おいしい。
すんごいおいしい。

ガラガラの店内。
席にはたっぷり余裕があるのに、すぐ目の前のテーブルに若い男性がこちら側を向いて座る。
揺れている。揺れている。足が小刻みに、しかし激しく。
高速貧乏ゆすりが始まったのだ。
あ、止まった。あ、また始まった。嫌だ。

コーヒーを飲もう。
すんごいおいしい。
貧乏ゆすりも許せるくらいにおいしい。
ありがたい。淹れたてのコーヒー。
言葉の響きもいいな、淹れたてのコーヒー。

グレイプバインが再燃している僕は、今日も朝から「Arma」を、続けてベスト盤を聴いている。
なんだか不思議と今の気持ちにマッチする。
貧乏ゆすりが落ち着いた。どうかそのままで。

さっきより少しぬるくなった淹れたてのコーヒーをひとくち。
まだおいしい。まだまだおいしい。
ありがたい。淹れたてのコーヒー。
そして、グレイプバインの音楽。

揺れている。また揺れている。
僕の日常と貧乏ゆすり。
あ、止まった。あ、また始まった。
まあそんなもんだろう。

このままここで終われないさ
先はまだ長そうだ
疲れなんか微塵もない
とは言わないこともない
けど

GRAPEVINE/Arma

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