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メンヘラのアラサー女子から、傷だらけの少女へ

横浜市内で電車に乗っていた時のこと。
MCMのリュック、厚底のサンダル、ブリーチで痛んだロングヘアの少女がいた。

私は人間観察が好きだ。
おしゃれな人を見かけると、つい手元のリングやネイル、バッグや靴まで見てしまう。
小汚い人がいたら、額に流れる汗や処理されていないボサボサのうなじまで見てしまう。見たくないのに。

その派手な少女は、車両に乗り込むや否や、空席が無いことに気づき、床に座りこんだ。その手に握るスマホは、誰かとチャットをしているように見受けられた。

不思議な子だ…とますます人間観察をやめられない私は、悲しい現実に気づいた。
彼女の左手首には、たくさんのリストカットの傷跡があった。
それだけでなく、彼女はショートパンツを穿いており、太ももの前側にも数本の傷跡があった。

私は適応障害の療養中で、リストカットをする人の気持ちは非常に理解できる。
自分が無価値で情けない人間なんだと思い、自分がとてつもなく憎く、許せなくなり、自分を傷つけたくなる。

彼女はどのような経緯でリストカットを繰り返すようになったのだろう。
そして、太ももの傷をあえて隠さずにショートパンツを穿くことは、心の闇に気づいてほしいサインに違いない。

静かな電車の車内、声をかけられない状況だった。優しい手を差し伸べることもできず、みすみす見逃すことしかできなかったが、私はしばらく胸が痛かった。

彼女へ今、声をかけることができるなら。

1人で悩まないで。
どうか、信頼できる人を見つけて。
その人の胸の中で、赤ちゃんのように大声で泣いてもいい。
リストカットをしてしまう自分を責めないで。
自分を許してあげて。

過去を愛せる未来を築いてね。


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