近代で失われたものをより豊かに:「修復的対話トーキングサークル」 X 「ことばの焚き火」的対話
修復的対話(Restorative Justice Dialogue )は、カナダの先住民やNZのマオリなどが行っていた対話を再評価し、現代に再生させた「対話」ということ。前日取り上げた、ハワイのホ'オポノポノを現代のソーシャルワークに取り入れているのにも似ている。テクニックを駆使するというより、静かに心を傾け合うことというのも、ホ'オポノポノや、「ことばの焚き火」的対話にもつながる。
古くからあったもの
近頃、ビジネス、地域、学校、医療、様々な場所で対話が注目を浴びるようになってきたが、それは人が古くからやってきた営みだ。
「ことばの焚き火」でも"対話の歴史"という項目で、次のように表現されている。
対話ってどうやるの?難しいという声を聞くことも多いが、実は、人類の歴史の中で繰り返し行われて来たことだから、料理ができたり、掃除ができたり、走れたりするように、対話もできるはずだ。
修復的対話の流れ(結界を張る)
先住民の知恵をもとに、現在運用される修復的対話は以下のような流れになっている。
これは、私たちがやっているとてもシンプルな「ことばの焚き火的」対話の流れに近い。チェックインで大切にしていることを「いつもの生活のペースや調子から修復的対話のペースや調子にギアを入れ替える」と表現されているが、私たちもこれを重要なことと思っている。
もちろん、大切なのは、場所を移動するということよりも、「いつもと違う調子にギアチェンジする」こと。修復的対話も、私たちが実践している対話も、結界を張って、場を整えることをしている。修復的対話が第4段階で、飲食を共にすることを入れているのは、非日常である対話の場と日常をつなぐためだという。ハワイのホ'オポノポノも、伝統的なやり方によると対話の後に食事をすることになっている。
人として実直に対話するだけ
私たちが実践している対話も、ホ'オポノポノも、先日取り上げたオープンダイアローグも、テクニックより「ただ人として実直に対話する」ことを重視している。
修復的対話でも、その場をファシリテートするサークルキーパーとして重要なことを、以下のように表現している。
いろんな対話を実践できる豊かさ
修復的対話はトーキングピースを持つ人が話すというやり方で進められるが、私たちが実践するときは、特にトーキングピースを用意しておらず、順番に話を聞くということがないことが多い(もちろん、あってもいい)。
修復的対話は、トーキングピースを用いることで、「聞く」と「話す」をしっかり分けることで、その場で誰かの発言に返答するようなこともなく、自分との対話インナーダイアローグが促進される仕組みになっている。
「ことばの焚き火」的対話でいうと、そういった決まりのようなものは、極力おいていない。そこには、根本を大事にしながら、その場にあった、それぞれの対話が生まれて欲しいという願いがあるからだ(と私は思っている)。
修復的対話、ウコチャランケ、ホ'オポノポノ、オープンダイアローグ、いろんな対話のやり方があるが、根幹に共通している部分は必ずある。いろんな対話に触れながら、その時の流れ、感覚にあったやり方を選択できる豊かさがは、私たちには許されていると思う。