うわの空になった理由。

SNSを使いこなしてるかって言われたら、全然自信はないけど、わたしはたぶん好きなんだとは思う。

ぽんぽん会話するのが上手くないし、感情が遅れてやってくるタイプなので、自分が思ったことを伝えるのに時間がかかる。だから、ゆっくり考えて文章を書くのが好き。

SNSで繋がってる友達は(わたしのつぶやきやらいろいろを読んでくれてるかどうかは別としても)、基本的なわたしをわかってもらえてると思うから、安心して話せる。そのおかげで、昔よりずいぶん心を開けるようになって、生きやすくなった気がする。

ずっと前に、好きな音楽のことを書くブログをしてたとき、悩んでることを書いたら、コメントに、「みんなどうしてもがんばってしまうから、逃げたいって思うなら逃げたほうがいい。」って書いてくれた人がいて。会ったこともない人のその気まぐれかもしれない言葉に助けられたことがあった。




それから。

母が突然、夜中にわたしの家にタクシーで来たことがあった。

父と母は2人で暮らしていたんだけど、父が怪我をして入院してたときだった。なんの連絡もなく、夜の12時近くにタクシーに乗って母が来た。なんで急に来たの?って聞いたら、「身内の不幸だからそりゃ来るわよ。」とか意味のわからないことを言い、「わたしたちのお母さんはどこ?」って言った。

今まで、少しボケたかな?みたいに思うことはあったけど、こんなことはなかった。ゾッとした。

夫に状況だけ伝え、娘たちは寝ていたのでなにも言わず、姉には朝電話しようと決めて、母のとなりで一緒に横になった。

眠れるわけない。なにが起きてるんだろう。どうすればいいんだろう。悲しいより怖かった。

母は、何度も起きて、トイレとは全然違う方へ歩きだす。トイレこっちだよ!って連れていく。それはわたしの知ってる母ではなくて、見ず知らずの老人みたいだった。

寝ている家族を起こして嘆いたところで、なにも変わらないし、みんなで寝不足になったってしょうがない。(そうやって自分で勝手にひとりで背負ってしまうとこがわたしの悪いとこなんだけどね。)
すごく孤独で、怖くて、長い長い夜だった。

その頃始めたばかりのツイッターで、「どうしたらいいんだろう!パニック。」って呟いたのは、夜中の3時くらい。

知り合ったばかりの友達から、「大丈夫!深呼吸して!」「もうすぐ朝がくるから!」ってリプライをもらった。呼吸が浅くなってたことにも気づいてなかった。深呼吸したら、指先があったかくなった。

となりの部屋にいる家族を頼ることができなかったわたしを、遠くにいる友達が助けてくれた。ずっと近くにいてくれた。

SNSの世界一あったかい使い方。




ブログにコメントくれた人は、その後は全く関わりないし、ツイッターで助けてくれた友達とはすぐに疎遠になった。

関係の深さとは違うもので、ただのタイミングなのかもしれない。別に今会いたいとか思わないけど、わたしはこのことを一生忘れないし、ずっと感謝し続けてる。

その後、父と母が2人きりでは暮らせなくなり、施設や病院のお世話になったんだけど、その頃もSNSにいっぱい助けられた。

たくさんの手続きであちこちに行く道のりに、ツイッターのタイムラインを眺めていると、すごく落ち着いた。わたしが不安な気持ちでバスに乗ってる午後に、好きなアーティストはのんびりとおはよー!なんて言ってるし、ライブで知り合った若い友達はおしゃれなカフェにいたりする。
それぞれに違う時間が流れてることに、なぜか救われた。
あのアイドルをお兄ちゃんにしたいか弟にしたいかでリプしあって、バスの停留所を間違えて降りてしまったりして、笑ったりした。
わたしが今抱えてるものなんて、全然知らない相手と、たわいのない会話をすることで、現実を受け止めすぎずに済んだ。
現実が重たいときこそ、うわの空でやり過ごそう。楽しいほうを直視して、辛いほうを薄目で見る。そう決めた。

それで、名前がうわの空になって、この歌がわたしのテーマソングになった。


ほんとは、空飛ぶよりも歌聴きたいけどね。

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