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「ガラスの海を渡る舟」を読みました。〜朗読を聴くことについて〜

最近、オーディブルにハマっていることは前にも書きましたが、2冊めを読み終わりました。いや、聴き終わりました?読んでもらい終わりました??
(本を読んでくれるアプリ、、らしいので。)

2冊めに選んだのは、寺地はるなさんの「ガラスの海を渡る舟」。
寺地はるなさんといえば、わたしのなかでは「石元みとんさんのおすすめの作家さん」です。
オーディブルで最初に検索したのはわたしの大好きな江國香織さんなんですけど、その検索結果からのおすすめで、寺地はるなさんの名前が出てきた。
それが嬉しかったです。やっぱり通じるものがあるんだなあって。


以下、ちょっとネタバレありです↓


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兄の道と妹の羽衣子。
道は子どもの頃から、人間関係をうまく築けなかったり落ち着きがなかったりで、まわりに迷惑をかけてきた。羽衣子は「あんなお兄さんがいて大変ね」って思われることが嫌だし、ずっと道のことが嫌いだった。
そんなふたりが、祖父のガラス工房を継ぐことになり、少しずつ成長しわかりあってく。

わたしは道の感じ方考え方がすごく好きだと思いました。先入観にとらわれてないというか、元々先入観がないというか。
大事な人を失ったことから前を向けずにいる人に、前を向かなくていい、元気にならなくていいって言ってしまうとか、彼氏にだまされたことがある羽衣子が次の恋に躊躇してると、違う相手なのになんでそんな不安になるのか?って言ったり。

物事をなるべく先入観抜きでとらえたいっていつも思っているけど、気づけないことがたくさんある。
ちゃんと考えずにその場だけの適当な会話をしてしまうこともよくある。
全然思ってもないのに人に合わせて同意しちゃうこともいっぱいある。
それで世の中をうまく渡れたとしても、虚しいなーって思う。

道のように、他の人のことは全くわからないって割り切れたらいいのにな。
そしたらなんでも自分の思うようにしたらいい。それで傷つくことあっても、雨が降って濡れてしまっただけみたいに考えたらいいんだし。

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本を読むのではなく、本を読んでもらうっていう体験をしてみて、いいところもよくないところもあると思いました。

いいところは、手作業をしながら読書ができること。目が疲れないこと。これは本当にありがたい。すごく助かる。
同年代の友達がよく、読書が好きだったけど老眼になってから読むのが億劫になったと言ってて、残念に思ってたし。

よくないところというか、やっぱり本で読んだほうがいいなーって思うのは、好きなところに印をつけれないこと。読んでて、ここ好き!って思ったところに付箋をつけたりして、あとで読み返すのが好きだから。

気になるのは、やっぱり声と読み方のこと。
特に会話部分は感情が入りやすいから、重要だと思う。
何度も読んでる好きな作品とかだと、自分の中で勝手にイメージを持ってるから、こんな説教ぽい言い方じゃないだろとか、変に色っぽくしないでくれとか思ってしまったり。

「はぁって言うゲーム」ってあるじゃないですか。
同じ「はぁ」でも、感心してるとか怒ってるとかいろんな「はぁ」があって、そのどれを言ってるのか当てるゲーム。(芸能人のYouTubeでよく使われてておもしろいやつ)それを思い出しました。

読み方で伝わり方が全然変わってしまうだろうな。その辺は作者の方はチェックするんだろうか?朗読を全部聴いて、ダメ出しとかするんだろうか?そうだとしたら、ものすごいハードな作業じゃない?

そんなことをいろいろ考えてしまった。

人の手に委ねるって意味では、映画化やドラマ化と同じようなことだよね。

わたしはたぶん、淡々と朗読してもらうほうが好きみたいです。
今は湊かなえさんの「境遇」を松雪泰子さんが読んでくれるのを聴いています。
とっても好みのタイプの読み方!

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