「母親になって後悔してる」を読んでしまった、「母にむいていない」わたしの物語
後悔。わたしは人生において、反省したことはあれど、後悔したことはなかった。一度も。
おもしろい本を読んだ。『母親になって後悔してる』という、イスラエルの社会学者が発表した本だ。
公募によって集った「母親になって後悔している母」が、インタビュー形式でその胸の内を吐露し、零れ落ちたその言葉に対し著者が考察をはさむ形で現状を解き明かしていく。
この本を読むまで、わたしは「母になった後悔はない」と思っていた。
だって、子どもはかわいい。どんなにムカつくことがあっても、かわいい瞬間はあるし。お世話で仕事をする時間が短くなっても、自分の人生おわったと思っても、……だって、自分で選んだんだし。
なのに、わたしは、グイグイ引っ張られた。こんなに「この本はわたしのことを書いているのではなかろうか」と思ったのは、高校生のときに読んだ太宰治以来だった。
あ、落ちる。
ここからは、もしわたしが「母親になって後悔してる?」と尋ねられた時に、自分だったらこう語るだろうというナラティブを書き留めていく。
そのうえでわたしの中にある薄ぼんやりとした感情の輪郭を鮮明にし、わたしが「母になった」という事象に対していま現在はどう捉えているのか、これからどうなりたいのかを宣言しておきたい。
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