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暮らしに花を|日々の雑記

題名とあらすじは知っているけれど、怖くて避けている映画ってありませんか?

私の場合は『酒とバラの日々』。
タイトルだけ耳にすると、何だか小洒落たおフランス映画のイメージですが、酒で身を持ち崩す夫婦を描いたアメリカ映画と聞き、ホラー作品として認識しております。

ただでさえ千鳥足で綱渡りの毎日なのに、人様のお宅であっても、酒で家庭が壊れる様子なぞ怖くて見ていられません。
基本、映画には夢を求める派ですので、現実路線の作品だと、「明日は我が身」と距離を取ってしまうのです。

叶うならば、綺麗なものに囲まれて暮らしたい人間でございます。目を背けたくなるリアルよりも、できる限り、ほろ酔いの夢にこの身を置き続けていたいのです。
だけど残念ながら、卸してくれる問屋が見つかりません。素面で生きる慰めに、バラの一輪でも、カスミソウの一枝でも飾らなければ、渡る憂き世はド畜生じゃございませんか。

以前は通勤ルートの乗り換え駅に花屋さんがあったんです。金曜の夜には切り花を買い求め、週末の彩りとしておりました。スキを押して頂いた際のリアクションは、その時に飾った花たちです。
あの頃は緊急事態宣言の名残りの時期でしたが、花を眺めることで、幾分気持ちが和らいだことを覚えています。美しいものに触れると、ちっとは自分がよいものになった気になれるのです。

飾るものとしては切り花や鉢植えもいいですが、ドライフラワーも素敵です。
盛りが過ぎて花弁を散らし、朽ちていくのは理(ことわり)なんでしょうけれど、その色と形を少しでも長くとどめおきたいと願うのも、これまた真理だと思います。

特に頂き物ですと、思い出とともに残しておきたくなるもんです。
開業のお祝いに頂いた花束やアレンジメントフラワーは、いつまでも可能な限り飾っておきたく、日陰に吊るして、しっかり水分を飛ばして仕立てました。お店のそこここにディスプレイし、仕込みの時などに視界の端に入ると、気持ちが穏やかになります。

暮らしに花があると、たとえ数秒でも余裕が生まれます。

これから年の瀬、年が明けたらすぐに年度末・年度始めの慌ただしさがやってきます。つまり、忘年会に新年会、歓送迎会とお酒を呑む機会も増える訳で、てんやわんやな日々が繰り広げられるのです。

お酒だけ呑んで暮らすことは叶わず働く中で、忙しさは人の心をささくれだてます。

時には花を眺め、ひと息つくことを忘れずにいたいと思います。

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豆千|飲食系書店
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