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美しい佇まい|日々の雑記#37

黒ラベルのロング缶とキンミヤの600ml。
ラベルを肴に飲めるのは、今のところこのふたつです。

魅力的な文章はほんの1、2行で惹き込まれ、読み進めるうちに周囲の音が聴こえなくなります。noteでも心掴まれる作品に出会うことが多く、よせばいいのに自分の記事と比べては文体が崩れます。

私には「読まれたい」「評価されたい」などのスケベ心があり、あれこれ詰め込もうとする癖(へき)もあって腰が落ち着きません。欲求や性癖は原動力たりえるので基本的には否定しませんが、問題なのは「いい人に思われよう」として、主題や構成を見失うことです。

例えば「肉食の喜び」について書こうとしていたのに、「野菜と健康」の文章に触れた結果、「肉とサラダ」に着地する、そういう事が多々あるのです。
当然、内容は薄まりますし、帳尻合わせの文章は安定に欠けます。キーを打ちながらも生乾きの靴下を履いているような、人の靴に足を入れたような違和感がつきまといます。

このあたり、SNSなら自由でいられると思っていたのですが、現実の暮らしとあまり変わらないものですね。

それなので軸がブレてしまった時は、自分にとって確かなものである黒ラベルとキンミヤを眺め、飲むことで心を鎮めます。拠り所となる美しいものに触れて、迷走するテーマを引き戻そうという訳です。

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一杯やって落ち着くと分かるのですが、そもそも「いい人」の正体が謎ですし、誰にそう「思われよう」としているのかも定かではありません。
明確な基準や対象を持たず、どうにも枯れ尾花に心をざわつかせる傾向があるようです。

モテたくて前髪ばかり気にしていた中学生時代、小手先の取組みが結果につながらないことは実証済みです。自分自身を省みずに、危うくまた失敗するところでした。

推敲を重ね、散々行きつ戻りつしながら書く楽しみ。端からそこにあったような言葉を見つけた時は、酒とは違う陶酔に身を置くことが出来ます。だけど朝になると酔いが覚めるように、見つけた言葉は一夜のうちに褪色を始めます。それならせめて自分と酒に嘘をつかず、真摯に文章と向き合いたいのです。

嘘はもう現実で重ねています。

それでもいつか、色褪せない文章を書けるようになるのでしょうか。そしてモテ期は本当に3回も来るのでしょうか。0歳、1歳、2歳で3回だとしたら、これから先どうしたらいいのでしょうか。

美しい文章に酔える日を夢見て、今夜もお酒に心を写します。

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豆千|飲食系書店
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