見出し画像

いつまでたっても|日々の雑記 #86

幼い頃、風邪をひき、熱にうかされ見上げた天井。

滲んだ染みが人の顔に見え、こちらを覗いているようで恐ろしかったものです。隠れるように布団をかぶり、まどろんだと思ったのも束の間のこと。枕元の時計は5分と経っておらず、パートに出ていた母親が帰ってくるまでの2時間が、それはそれは長く感じられました。

小児喘息の気もありましたので、幼稚園は休みがち。深夜、ヒューヒューと喘鳴がすれば眠ることが叶いません。咳と涙でぐしゃぐしゃの私を、代るがわる抱きかかえ、明け方まで背中をさすってくれた若い頃の両親の姿。

すっかり忘れていた子どもの頃の記憶。思い出したのは、久し振りの実家、慣れ親しんだ部屋で一晩過ごしたからでしょう。

数年来の世界的な変事の中、年老いた父母のことを考えると、日帰りはあっても、泊まることは控えていました。ようやく世間も落ち着き、自分も時間が取れたので、先だってひとり帰省をしてきたのです。

……ええと、ちょっといい話風を装いました。
3年振りに泊まったのは本当ですが、翌朝、二日酔いで見上げた天井が、グルングルンと回っていたから思い出しただけです。
そもそも前夜に呑み過ぎ、真夜中のトイレに突っ伏し、ジャイアンよろしくボエーッとなりました。見かねた老母に背中をさすられたおかげで、小さかった時の記憶が蘇ったのです。
確かに、あの頃と同じくえずきと涙でぐしゃぐしゃでしたが、大丈夫だから、後生だから、放っておいてくれろとお願いし、そのまま打ち捨ててもらいました。ホント、いい歳して何をやってるんですかね。

まあ、親にしてみればいつまでたっても子どもなんでしょうけれど、本人としては恥じ入るばかりです。

そんな愚息ではありますが、おかげ様ですっかり丈夫になりました。寝込むのはせいぜい二日酔い。体調を崩したとしても決まって休み中、月曜日には仕事が出来る哀しい大人です。

自分で招いたアクシデントではありますが、せっかくの機会なので、昼飯は子どもの気持ちでハッピーセットを注文。荒れた胃には、あれぐらいの量が丁度いいのです。

セットのおまけ、今は本もあるんですね。マイメロのおもちゃも気になりましたが、今回は水木しげる先生の妖怪図鑑を選びます。天井を見上げ、ゾーッとした気持ちになったのでピッタリです。

『悪魔くん千年王国』が愛読書だった小学生時代、たまには童心に帰るのも悪くありません。


■■■ イベントのお知らせ ■■■

お手伝い・参加・企画するイベントです。よろしければお越しくださいませ。

1箱本の市@稲荷湯長屋

明日、2023年10月28日(土)、東京は北区にあります稲荷湯長屋さんで開催されるイベントに参加します。当日は「辺境スナック西北西」の雇われマスターとして、豆料理とビールをご提供。

深まる秋、お隣の滝野川稲荷湯でひとっ風呂浴びたあと、本を片手にビールなんていかがでしょう?

【最寄駅】
・都営三田線「西巣鴨」駅下車、徒歩6分
・埼京線「板橋」駅下車、徒歩6分

まつりのあとのお茶の時間

2023年11月12日(日)、文フリ東京の翌日、棚をお借りしている西日暮里BOOK APARTMENTさんにて、ちょっとしたイベントを開催します。

詳しくは、こちらの記事をご覧くださいませ。

素敵なお菓子とお待ちしております。

いいなと思ったら応援しよう!

豆千|飲食系書店
頂いたサポートで酒を呑み、それを新たな記事にすることで「循環型の社会」を実現します。 そんなほろ酔いで優しい世界、好事家の篤志をお待ちしています。

この記事が参加している募集