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「タラント」を読んで思うこと-美しく暮らす-

戦争の話は好きじゃない
こういうことをいうと怒られるから、それも理由のひとつ
大きな理由は、小学生のころに担任の先生がはだしのゲンを全巻買ってきて、全員読むことを義務としたから

小学生になる前から本が大好きだったわたしは、想像力がたくましかった
本好きにはわかってもらえると思うが、本は登場人物、背景、すべてを文字から想像してゆく
となると、はだしのゲンを読むのは当時の小学生のわたしには辛すぎた
しかもマンガ、絵がある
その絵がわたしの記憶に残る 
読みたくないと先生に伝えたけれど、もちろん却下された

今回、大好きな作家の角田光代さんの文庫「タラント」を本屋さんで手に取った
好きな作家さんの本なので、中身をパラパラとみて購入したが、その本の内容は戦争にいったおじいちゃんが出てきて語り、孫娘が外国にボランティアに行き、その時の体験からその後の人生での葛藤、そしてパラリンピックに繋がっていく

孫娘の感情が痛いほどわかる
なにかしたい、でもそれは偽善じゃないか
そして、戦争で脚を失ったおじいちゃんの話は病気で脚を失った弟に重ねてしまう
孫娘と同じように、わたしも弟に対してみてみぬふりしてきたのではないかという罪悪感
何かできたんじゃないかという後悔

この本を読むのは苦しかった
最後は涙が止まらなかった
苦しいような、かなしいような、でもわかるような、そうであってほしいような
いろんな感情が混ざっちゃった

人が生きているのは、だれかに生かされてるいるという
心臓が自分の意識とは別に動いている事実がそれをあらわすときく
自分の価値を見出すことは本当に難しい
やりたいことがあるときは一生懸命だからそんなこと考えないけど、ふとやりたいことが途切れると「使命とは」なんて考えがち

自己肯定感ややりがい、生きがい、幸福度
たくさんの人が悩んでいて、手に入れたいと思っている
ならば、わたしはそこから抜け出そうと最近決めたところ

わたしはわたしをわたしの手でしあわせにする
自己肯定感もやりがいも生きがいも幸福度を人と比べず、
自分が感じるしあわせを感じて、みつけて生きてゆこう

そう決めたから、この本と出会えたと思う
何が言いたいんだろう?って、中盤までそう思いながら読んでいた
途中でぐいぐい引き込まれて、泣き、共感し、最後は号泣
やっぱり作家ってすごいな
本てすばらしいな

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