「実家」と呼ばせていただきたいショコラのこと
みなさんこんにちは、まめもです。
なんか本当にチョコレートの話しかしてなくてすいません。
当初はもうちょっといろんな話を書くつもりだったのに始めた時期も時期で完全にチョコレート脳ができあがってしまっています。
そんなわけで今年は全身全霊でチョコレートを楽しめたのですが、
そんな中、何度食べても「やっぱりこれがすきなんだよなあ」としみじみしてしまうショコラがあります。(結局チョコレートの話なんか〜い)
フランク・フレッソンさんのこと
◾️Frank FRESSON / フランク・フレッソン(フランス・ジャルニー)
1925年創業ということは、まもなく100周年を迎えるんですね。
最後の一文が「でした」と過去形なのにはわけがあります。
実は3代目シェフのフランク・フレッソンさんは昨年9月に他界されているのです。53歳の若さでした。
私はサロショの公式Instagramで知りました。
2019年、会場でショコラの愛らしさに一目惚れして、美味しさにも惚れ込んで以来大好きなブランドです。
フレッソンさんのショコラは気を衒わずシンプルで、素材の美味しさを最大限活かしている印象をもっています。
シェフの情報を逐一追っていたわけではなかったですし、ムック本などで見かけるお顔も若々しく感じていたので、訃報を知った時は悲しみというより驚きの方が大きかったです。
そんなこともあり、今年も絶対に買おうと決めていました。
ジャンドゥーヤの概念を覆す「ミヌレイ ロレーヌ」
フレッソンさんの商品はどれも本当に美味しいのですが、中でも私が大好きなのは「ミヌレイ ロレーヌ」というジャンドゥーヤ。
ジャンドゥーヤといえばイタリア発祥のチョコレート菓子で、ナッツをペースト状にしてチョコレートと合わせ練り上げたものです。
とても濃厚で滑らか、口に入れるとチョコレートとナッツのマリアージュを存分に楽しむことができ、チョコレートやナッツが好きな方にはたまらぬ美味しさです。有名なのはCaffarelやVESTRI、BABBIあたりでしょうか。
例に漏れず私もジャンドゥーヤ好きで、毎年バレンタインの購入リストにはかならずどこかしらのものを入れてました。
その中でもジャンドゥーヤの概念を覆される衝撃的な出会いだったのが、フランク・フレッソンの「ミヌレイ・ロレーヌ」でした。
まずパッケージが本当に素敵じゃないですか…?
朱色で正方形のボックスにリボンの組み合わせって、クラシックな「贈り物」という感じがしてとってもキュート。
気取らないけれど洗練されていて、温かみもあって、大好きです。
蓋を開くと、ふぞろいなジャンドゥーヤたちがごろごろとお目見え。
フランク・フレッソンがお店を構えるジャルニーという町はもともとイタリアからの移民が多い炭鉱町で、この形は石炭をイメージしているそうです。
ちなみに「ミヌレイ ロレーヌ」は創業当初から受け継がれる伝統の味。
”ミヌレイ”は炭鉱、”ロレーヌ”はジャルニーがあるロレーヌ地方のことを指しているみたいです。町の歴史が詰まったようなショコラなのですね〜。
さてひとたび香ってみれば、ヘーゼルナッツとチョコレートが混ざり合う圧倒的『幸せの香り』がします。
初めてこれに出会ったとき、もう好きすぎてたまらなくて、この段階で天を仰いでしまい、完全ノックアウトでした。笑。
それまで、ジャンドゥーヤ=イタリア定番のねっとり濃厚なイメージしかなかった私は食べてびっくり、信じられないくらいふんわりとろける!
もはやエアリーという表現の方が近いです。
ベースはミルクチョコレート、ピエモンテ産のヘーゼルナッツと砂糖をペースト状にしたものが練り込んであり、スライスしたナッツとココアパウダーを絡めています。(って書いてあるんだけど、実際スライスというよりはもうちょっと立体感があってダイスっぽい気がします)
チョコレートとヘーゼルナッツはミルキーで甘さもしっかりありつつ、とても上品で全くしつこくないです。
スライスナッツは食感のアクセントの他にもナッツ感をより濃厚にしているし、仕上げにまぶされているココアパウダーがほんの少しの苦味とカカオの香りを与えてくれていて……書いていたらものすごく食べたくなってきました。笑。
ごくシンプルなのに全てのバランスが絶妙なんです。
口の中で溶け合うと「はあ〜幸せ…」と思わず声に出してしまいます。
そもそも私は味で言うとミルキーさがあまり得意ではないのですが、不思議とこれに関しては全く嫌な感じがなく、フレッソン家の手によりふわふわと甘やかされてゆくのですね〜〜。
心がほどけるような気さえして、なんかもう泣けてきます。(情緒不安定)
ああどうしてこんなに美味しいんだろう。
バレンタインの催事で忙しなく店頭に立っていたときは、ことさら癒されていました。
この「ミヌレイ ロレーヌ」、烏滸がましい言い方をすれば、
私にとって”実家”みたいなものです。
いつでもそこにいてくれて、食べればホッとする、そんな存在です。
フランク・フレッソンさんが亡くなられた今、フレッソンというパティスリーがどのようになるのか私にはちょっとわかりかねます。
けれどフレッソンを愛する人がフランスから遠く離れた日本にもたくさんいることは、今年改めて実感しました。
どうかこの先も、守り続けてほしい味わいです。
来年もまた会えますように!