百万円と苦虫女
芯の無い私の心はいつもブレブレしていて頼りない。私はいつも過去に戻りたい病だ。あの時こうしていれば、あそこでこの事に気づいていればと頭を抱える事が多い。気持ちが移ろいやすく、自分に翻弄され疲れやすいのかもしれない。
今も変わらないけど10代20代の私は自分に自信がなかった。周りの友達は自分を持っていてキラキラしていて眩しかった。自分が何なのかわからなくてずっと自分を探していた。今の自分が駄目なのは過去に努力を惜しんだからで、人の忠告を聞かなかったからで、何かに優しくしなかったからかもしれないと後悔をして、布団を頭からかぶって思考を巡らせていた。
***百万円と苦虫女***
ある日バイト生活をしていた鈴子が、前科をつくってしまう。その事がきっかけで100万円を貯める毎に場所を転々と旅をするお話。
この映画で鈴子は大事な事を言ってくれる。
自分は自分を探したくない。自分は自分の行動で生きていかないといけない。
その言葉にハッとして我にかえったような気がした。自分探しをして自分を変えないといけないと思っていた私にはとても衝撃的な言葉だった。
自分は他人になれない。リセットも出来ない。自分の生活を自分の為に丁寧に過ごさないといけない。あわよくばその自分の行動で大切な人を幸せに出来れば尚良いんだけども。
いつだったか忘れたけど、この映画と出会った20代のある日。そんな事を思ったのだ。
弟と鈴子の関係も、恋の結末も全て好きな映画。
そしてなんと言っても、この映画の印象はカーテンと窓。外から吹いてくる夏の風がカーテンを揺らす。窓から外を見て物想いに耽る姿がとても美しい。冬の今、夏の汗が体を纏いつつも心地よく感じる風が懐かしくなる。