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フルートと和笛の違いから考える日本人①近所のおじいさんが竹で作った和笛
子供の頃、フルートと和笛(横笛)をやっていた。
どちらも音の出る仕組みは同じだ。
穴から息を入れて、管で音を作り、指で音程を変える。
金属と、竹という違いはあれ、横に構えるので見た目も似ている。
が、しかし。
フルートの吹き方を和笛に取り入れると怒られ、
和笛の吹き方をフルートで活かすと怒られた。
子供の頃は「なんでやねん!」としか思わなかったが、大人になってあらためて違いを考察したいと思う。
ここでいう和笛とは、竹で作られた篠笛(しのぶえ)のことである。
楽器屋さんで買ったフルート 近所のおじいさんが竹で作った和笛
フルートの場合
フルートを作っているのは楽器メーカーだ。私は近所の楽器屋さんで「YAMAHA」のフルートを買った。7万円。
和笛の場合
一方の和笛は、おじいさんが近所の竹を切って作ったものだった。竹を切って作ったといっても、漆が塗られ、光沢のある立派なものだった。
おじいさんは7~8本の笛を持ってきて「自分に合ったものを1本選びなさい」といった。笛に自分の吹き方を合わせるのでなく、自分に合った笛を選ぶスタイル。
同じように作られた笛だが、もともと近所に生えてた竹である。太さや色もまちまち。吹いてみると低いもの、高いもの、音がかすれるものなど様々だった。
どれにしよう・・・。小学生ながら、一生の相棒を決めるような真剣な気持ちで一本一本を吹き比べた。一緒に選ぶ友達が2人いたので、その子たちとも被らないようにしなければいけない。
でも、不思議と被らなかった。
私は一番細くて色の濃い和笛に決めて「これにする」といった。
笛を作ったおじいさんはにっこり笑って
「いいのが見つかってよかったね。」といった。
「お金を払わなきゃ!」当時の私もそう思ったと思う。しかし、対価交換という概念がおじいさんにはなかった。
おじいさんも近所のおじいさんから、笛をもらったそうだ。ついでに作り方も教わったという。
つまり江戸時代から、作り方も吹き方も伝承された笛なのだ。竹は朽ちるが、受け取る人がいれば途絶えない。
そうやって受け継がれてきたものに、材料費がいくらだの、作るのに何時間かかっただのという概念はないのだ。
わたしは笛をもらって、練習して、そのまま帰った。
あの時、ちゃんと「ありがとう」が言えてただろうか。記憶があいまいだ。おじいさんが竹を切って、穴をあけて、漆を塗って笛を作る大変さがわかったのは、ずっと大人になった後だった。
お金を払わず、お礼も言えてないかもしれない。それでも笑っていたおじいさんから学ぶことは計り知れない。
私もそうありたいと思う。偽善じゃなくて、なにか伝わればそれでいい。
その時もらった笛は、今も私の手元にある。あのおじいさんは亡くなってしまっただろうか。作り方、聞いておけばよかったな。