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秋が似合う「アコースティック」な3曲
毎年経験することとはいえ、秋分から冬至にかけて夜の訪れが早まる秋の日々は、なんだかさびしいものです。
とくに食欲が増すわけでも、読書意欲が旺盛になるわけでもなく、いつの間にか衣替えをし、山の紅葉していくさまを眺め、風のつめたさを感じながら淡々と過ごし、冬を待ちます。
そんななか、秋に聴きたいアコースティックギターの音色が物悲しくも美しい3曲を紹介させていただきます。
ダン・フォーゲルバーグ『Longer』
ダン・フォーゲルバーグ(Dan Fogelberg)は、カントリーやフォーク・ロックを基調とした素朴なギタープレイとあたたかみのある歌声で人気を博したアメリカのシンガー・ソングライター。
1970年代半ばから後半にかけてアルバムがヒットし、商業的に全盛期を迎えましたが、2007年に56歳でこの世を去っています。
Longer than ther've been fishes in the ocean
Higher than any bird ever flew
Longer than there've been stars up in the heavens
I've been in love with you
このような歌詞ではじまる『Longer』は、どんなものよりもあなたを愛しているというスケールの大きな愛の歌。
アコースティックギターの乾いた音色と美しいストリングスは、彼の故郷のイリノイ州の大自然の風景をイメージさせ、静かに紅葉する森や少し冷たい秋の風なんかも想像してしまうのですが、
しかし、この曲は奥さんと休暇で訪れたハワイのマウイ島でハンモックに横たわって星を見上げていた時にインスピレーションを受けて作られたというエピソードがあります。
カンサス『Dust in the Wind』
1969年に結成され、70年代半ばから80年代後半にかけ全盛期を迎えていますが、昨年もアルバムをリリースしているアメリカのロック・バンド、カンサス(Kansas)。
イギリスのプログレッシブ・ロックからの影響がみられ、プログレ・ハードとカテゴライズされることもあります。
dust in the wind,
all they are is dust in the wind
『Dust in the Wind』のサビの部分は、「ぼくらは風に舞う塵みたいなものなのさ」と、諸行無常感たっぷりな歌詞になっています。
そんな歌詞がイントロのアコースティックギターのアルペジオや、間奏のバイオリンの音色と相まって、静かな秋の夜が似合う曲なのではと思うのです。
元はギター担当のメンバーが練習用に書いたコード進行の曲で、練習を聴いてた奥さんが、「よい曲だから歌詞を書いて曲にしたら?」と勧めたことがきっかけで、歌詞はネイティブ・アメリカンの詩からインスピレーションを受けて作られたそうです。
Predawn『Autumn Moon』
新潟県生まれ、東京都郊外育ちのシンガーソングライター、清水 美和子さんによるソロプロジェクト Predawn(プリドーン)。
2016年にリリースされた、彼女の2ndアルバム「Absence」に収録されている『Autumn Moon』。
おひとりで宅録されている曲だそうで、やさしく透明感あふれる歌声やアットホーム感漂うあたたかな雰囲気とともに、秋の月を愛でながら聴きたくなります。