ホルモン療法の副作用⑧-4エストロゲンとドーパミン
脳のことをよく知らない人でも名前だけは知っているであろう「ドーパミン」。認知症患者において、ドーパミンは不足する神経伝達物質。少ないのがよくないなら多ければいいのかというと、そういうわけでもない。「ちょうどいい塩梅」がちゃんとある。
そして、ドーパミンをその「ちょうどいい塩梅」におさめてくれるのがセロトニン。そしてそのセロトニンはエストロゲンととても関係が深い。
エストロゲンには①セロトニンの産生を促し、②セロトニンの作用を増強するはたらきがあります。
セロトニンは睡眠に関係が深い神経伝達物質。セロトニンが不足すると睡眠障害やうつを引き起こしてしまう。
ノルアドレナリンのはたらきには目覚め、集中力、記憶などがあります。
ドーパミンのはたらきには快感、快楽、運動機能、攻撃性などがあります。
セロトニンはこれらがポジティブに作用するためにほどよく抑制するはたらきがあります。
ところがセロトニンが不足すると抑制作用がはたらきづらくなります。
セロトニンが不足するとノルアドレナリンもドーパミンも過剰になるため、
・強迫観念
・うつ、抑うつ
・パニック障害
・頭痛、血圧の変動など
・便秘、下痢
・睡眠障害
などが起きやすくなります。
また、ドーパミンの過剰は攻撃性、依存症(アルコール、ギャンブル、買い物など)を引き起こします。
行き過ぎる推し活は、もしかしたらドーパミンが関係しているかもしれません。思い当たる方はまず睡眠の状態から見直してみると、気づいたら推しへの愛が薄くなってきた、なんてこともあるかもしれません。
ま、冗談はおいといて。
セロトニンが不足する要因はいくつかあります。
・加齢→エストロゲン不足
・昼夜逆転生活
・運動不足
・電磁波
・トリプトファン不足
加齢で睡眠が浅くなる、寝つきが悪い、一度目が覚めるとなかなか寝付けない、というのはセロトニンが関係しています。
(ホルモン療法におけるエストロゲン不足はまた別の機会に記事にします。ここではあくまで自然な加齢について書いています)。
カフェインは覚醒作用があるので、コーヒーなどを一定量(またはある時間帯以降)飲むと寝つきが悪くなるなら、工夫してみるといいでしょう。
昼夜逆転生活は本来脳が休むべき時間帯に脳をはたらかせ負担をかけます。特に脳の中枢に影響するので、もし可能であれば生活習慣を少しずつでも変えていくことをおすすめします。特に何らかの持病があるなら、昼夜逆転生活を続けることは治癒を遅らせるか進行を早めることになり、治療の効果も出にくくなります。
電磁波もブルーライトも脳によくない影響を及ぼします。
目に明るい光が入ると脳に刺激を与えます。夜にパソコンやスマホなどブルーライトを浴びると脳が覚醒して寝つきが悪くなります。
鳥は明るいとずっと起きてピーピーチーチー鳴き続けますが暗くするとピタリと鳴きやみます。光に反応して起きるからです。これと同じことがヒトの脳でも起きています。目に入った刺激は後頭葉で処理され、前頭葉で目に入った刺激が「何か」を判断します。前頭葉はストレスを抑制するはたらきがあります。こうした刺激を与え続けることも前頭葉に負担をかけ続けることになります。
もし、睡眠の問題やストレスを抱えているなら、パソコンやスマホなどを見ている時間帯を見直すところから始めてみるいいでしょう。
トリプトファンは必須アミノ酸の一つで、体内でセロトニンに変換されます。とってから14~16時間後にメラトニンになるので、朝食にとるとちょうどいいでししょう。ビタミンB6と一緒にとると効率よく吸収されます。
トリプトファンは大豆製品や穀類、肉類、魚類、卵、ナッツ類、バナナ、乳製品などいろいろな食品に含まれます。
ただし、大豆製品は亜鉛の吸収を阻害するので常用している薬がある人や亜鉛サプリをとっている人は、朝食に大豆製品をとったらサプリは昼食後以降にとるなど工夫してください。