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睡眠時間が増えたのはスマホ寝落ちが原因じゃないと考える
共同通信のニュースでこのようなものがありました。
20代~30代前半の睡眠時間がこの10年間で約1割も増えて約8時間になったとのこと。たったの”10年間で1割も増えた”というのはすごい変化です。
このニュースにおいてビデオリサーチと電通の両社は「スマホいじりによる寝落ちが原因か?」と推測しているのですが、本当にそうなのか疑問に感じました。
このニュースに対する私なりの考えを書きたいと思います。
・若者の就寝時間が早くなった
まずこのデータの対象となっているのは20代~30代前半という若者でおそらく大半が社会人でしょう。社会人のアフター5の生活にこの10年間でどのような変化があったのか想像してみたいと思います。
「睡眠時間が増える」ということは2つに分解されます。「就寝時間が早くなったこと」と「起床時間が遅くなったこと」。最近はコロナウイルスの影響でリモートワークや時差出勤なども認められてきましたので、起床時間が遅くなったことも考えられますが、19年までの変化とは考えにくいです。
そのため「就寝時間が早くなった」と考えるのが妥当です。
・若手社員のアフター5の使い方
「なぜ早くなったのか?」と考える前に若者は退社後から就寝までどのような時間を過ごしているのかという点に目を向けたいと思います。
若手社員のアフター5の過ごし方は大きく3つに分けられると思います。
・残業が減ったことによる影響
1つ目は残業。エネルギー溢れる若手社員はアフター5もバリバリと働きます。残業時間はこの10年間でどのように変化したのでしょうか?
Vorkersが集計した残業時間データをまとめた報告書を見ると2012年から2018年までに月平均残業時間は約18時間減っていることが分かります。
このデータから残業時間が減ることで早く寝られるようになったのでは?と考えられます。減った残業時間は1日あたりわずか1時間程度。大きな影響があったとは考えにくいものの、要因の1つとして考えられそうです。
・飲み会が減ったことによる影響
アフター5の過ごし方の2つ目は飲み会。これもキリンホールディングスから報告されたデータに基づいて考えたいと思います。
このデータは少し古いですが、飲み会の月平均回数は2004年の1.8回/月に対して2009年は1.5回/月となっており、5年で0.3回/月ほど減少しています。この減少率が2009年から2019年まで続いたと考えるとこの10年間で1.5回/月から0.9回/月まで減ったと推測できます。
ただ、1回の平均飲み会時間はせいぜい4時間程度です。飲み会の減少が睡眠時間を延ばしたと考えるのは難しいでしょう。
・テレビ利用時間が減ったことによる影響
そして3つ目は家で過ごす時間。おそらくアフター5のほとんどがおうち時間に割かれていると思います。若手社員は家でどのような過ごし方をしているのか。人それぞれなので想像するのは難しいですが、大半がテレビやスマホ、ネットといったメディアを使って過ごしているのではないかなと思います。
これについては総務省が報告した主なメディアの利用時間と行為者率の推移から若者の行動の変化を読み解いていきたいと思います。
この報告では各年代のメディア利用時間と利用率が載っております。2013年と2017年を比較するとテレビ利用時間は20代、30代とも約40分減、ネット(スマホ含む)は20代約50分増、30代100分増となります。また利用する割合もテレビは減少し、ネットは増加しております。このデータからだと、テレビ利用時間が減ったもののネット利用時間が増えて合わせるとメディア利用時間は増えているので睡眠時間は減りそうです。それなのに睡眠時間は増えています。これはなぜなのでしょうか?
ここでネットとテレビの使い方というところに目を向けていきましょう。ネットと比べてテレビは時間に拘束されやすいメディアです。見たい番組を見るためには限られた時間に家でテレビを点けておかないといけません。そのため、欲しい情報を得るためには、場合によっては遅くまで起きてでも見る必要があります。
一方でネットはいつでもどこでも欲しい情報を得ることができます。効率よく自分好みの情報を得ることができるネット利用が増えたため、満足して早く寝られるようになったのかもしれません。そう考えるとメディアの媒体が変わっても一日に情報を得られる量は同じなのかもしれませんね。
・なぜスマホいじりによる寝落ちが原因と報道したのか?
これらのデータから考えると、スマホいじりによる寝落ちが原因とは言いにくいなと思いました。私は残業時間の減少とメディア媒体の変化が主な原因だと思います。
そして「スマホいじりによる寝落ちが原因か?」というような見解をなぜビデオリサーチと電通の両社は報告したのかと疑問に思いました。もしかすると、テレビ局側からの圧力が働いたのかもしれません。スマホを原因に出すことによってテレビ局の立場を回復させよう、そんな意図があったのかなとも思いました。
このあたりはこれ以上深掘りできないためわかりませんが、今後はそのような意図が働いている可能性もあると考えてニュースを読んだほうがよいかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。