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私が「短時間正社員」を採用した理由

今、新たな働き方の選択肢として「短時間正社員」が注目され始めています。弊社でも今年の4月から採用したところ、事例としてなんとNHKに取り上げていただきました!

弊社ではこれまで「もっと多くの方が活躍できるよう、多様な働き方を創っていきたい」という思いを胸に会社の運営含め、全て業務委託のメンバーにて行ってきたという背景があり、それが弊社の大きな特徴でもありました。
また世間でもフリーランスや副業・兼業など雇用にとらわれない働き方が浸透しつつある今、なぜ短時間社員の採用に踏み切ったのか?
そのきっかけや経緯、実際導入してみてどうだったか?など、NHKの取材では伝えきれなかったことについて、ここに記したいと思います。


導入までの経緯

きっかけは「扶養を超える=社会保険の負担増」という話から

今回、短時間正社員として採用した藤本さん。
最初はライターとして週1回のメルマガ作成の依頼から始まったのですが、そこから「これもお願いできるかな?」とどんどん依頼業務の幅が広がっていきました。
また藤本さん自身が個人事業主としてヨガ講師やライターのお仕事をしていたというのもあり、すべての報酬を合計すると扶養の範囲を超えてしまう。
扶養を超えると社会保険の負担が大きく、せっかく働いても大幅に超えない限りはマイナスになってしまう・・・・。
そう嘆く姿を見て、「会社への貢献度もとても高いし、何か会社としてお役に立ちたい」そう思ったことがきっかけでした。

「週2正社員」という選択肢

導入にあたってまずネックとなったのが、「週30時間」の壁。
弊社のような小さい会社の場合、社会保険加入の条件は「1週間あたりの労働時間が30時間以上」。
その条件をクリアしようと思うと、週4日/1日7.5時間、もしくは週5日/1日6時間なので、ほぼフルタイムと同じ。
希望の労働時間は60時間。それでも社会保険に加入できる方法はあるのか?を模索していました。

そんな時、知人の社長さんから耳にしたのが「週2正社員」

『短時間正社員』という就業規則を作れば、週2の勤務でも健康保険や厚生年金に加入できる

週2正社員Webサイトより

これであれば、条件をクリアできるのでは!?と導入に関する検討を開始しました。

「偽装フリーランス防止強化」の影響で、業務委託で依頼できる範囲に制限が出てきたことも後押しに

「フリーランスなのに、まるで社員のように管理される」
「社員と変わらない働き方をしているのに、業務委託契約を結ばされている」
など制度を悪用した偽装フリーランスを防止しようという動きが強まったことで、フリーランスの労働者性に関する規制が厳しくなりつつあり、「一般事務及びそれに付随する業務」と業務範囲が明確でないうえに、かかった時間分だけお支払いするタイムチャージという形でお仕事をお願いすることが難しくなってきたというのも一つの要因でした。

他のメンバーは「経理」「システム」「Web」「SNS」など業務範囲がある程度明確だったのに対し、藤本さんに依頼する業務は多岐に渡っており、今後、依頼の都度契約を見直す必要が出てくる可能性がある、ということを考えると、このタイミングで雇用に切り替えるのがベストでは?と考えたのです。

「もっと会社にコミットして欲しい」という会社の想いと、「安定が欲しい」という働く側の想いが一致

雇用するのであれば、パートという形でも可能です。
それなのになぜ「正社員」の形にこだわったのか?

それは会社に対する「コミット度」を考えたからこそ、でした。

もともと責任感を持って業務に取り組んでくれてはいたのですが、時折
「これは私がやるべきことなのか」「これは言った方が良いのか」とどこかに線引きや迷いがあるのが垣間見えることが。
もともと私自身が「やった方が良い!と思うことはどんどんやってほしい」と思うタイプだったのもあり、その迷いを払拭したいという想いを持っていました。

また藤本さん自身も、フリーランスを長く経験してきて、その自由度に満足しつつも、どこにも所属していないということへの不安は漠然と感じていたようで、まさに会社と働く側のニーズが一致し、「これは導入すべきだ!」となりました。

導入までの流れ

まずは法律をどうクリアするか?

法律上では、社会保険加入の要件は
「週30時間以上もしくは、所定労働時間もしくは日数がフルタイム勤務者の3/4以上」

従業員が50名以上の会社だと週20時間以上の条件に変更となっているけれど、それも非該当。

まあそもそも、会社としての負担が大きいから加入させない方向で・・と考える企業が多い中、弊社の動きは逆行してますよね(苦笑)。

契約時間etc。対象メンバーとの何度にもわたる話し合い

次に契約労働時間をどうするか?
これまでの稼働時間はだいたい60〜80時間。
雇用保険の加入要件は、月87時間程度。ここは週2正社員でも変わらないところ。
ただ、契約した時間数を下回った場合欠勤扱いになるということと、今後どれくらいになりそうか読めなかったというのもあり、まずは雇用保険対象外の60時間で契約することに。

(まあでも結果的に90時間平均だったので、初めから雇用保険加入していたら助成金もあったかもしれないなあ・・)

所定時間の短縮&スーパーフレックス制を採用

「これまで通り働いてもらいたい」という思いがあった時、ネックとなるのが就業時間。9時から17時まで、など就業時間を定める働き方にはしたくない。

そこで採用したのが「スーパーフレックス制」

これであればコアタイムを設けず、始終業時刻を労働者本人が決定することができる制度。これであれば従来通りの働き方が実現できる!と採用することにしました。

就業規則や雇用契約書等の整備

弊社の場合、社員の採用自体が初ということで、まずは就業規則の整備から必要でした。そこで、ずっとお世話になっているはぐるま合同事務所の社労士・澤井ゆかり先生に相談して、就業規則や必要な書類などの整備を進めました。


実際に導入してみてどうだった?

会社として社会保険料の負担等はもちろん増えます。
弊社の場合は、初の社員採用ということで就業規則等の整備にも費用はかかりました。
また形態が変わったからといって「在宅で好きな時間で働いてOK」という
ただ実際導入してみて、それを上回るメリットがたくさんありました!

仕事を依頼する時に、
「これは業務範囲外?」と躊躇することがなくなった

色々お願いしたい、となった時に常に頭にちらついていた「フリーランスの労働者性」。
依頼する業務の範囲が広がるたび「ここまでならOKかな・・・?」「ここからは契約変更なども必要かな?」といつも葛藤していました。

正社員に変わってその躊躇が一切なくなったことは、私にとってとても大きかったです。

コミット度が大幅にアップした

藤本さん自身も、これまで責任感を持って業務に取り組んでくれてはいたもののやはりどこかで「社員ではないし」「ここまで言っていいのか」という暗黙の線引きというか遠慮ががあったようでしたが。

社員になってからは、「これもやろう!」と自ら提案したり動いてくれるケースがものすごく増えて、会社としてできることも格段に増えました。
(実は最近SNSでの発信がめっちゃ増えたのも藤本さんの影響が大きかったりします)

働き方は変わっていないはずなのに、意識ってここまで変わるんだ・・・!と、嬉しい誤算でした。

「私もやりたい!」という多くのニーズが見えてきた

NHKで紹介していただいてから、たくさんの方からメッセージをいただきました。
短時間正社員を取り入れたい!という企業もですが、特に目立ったのが「私もこういう働き方をしたい!」という声。
やはりフルタイムでの働き方に対して限界を感じている、できればもう少し余裕を持って働きたい、そんな思いを持つ人が多いということを改めて実感しました。

今後、優秀な人材確保の手段の一つに

今後、優秀な人材を確保することはどんどん難しくなってくると思います。
ただそれは「フルタイム勤務」を前提とした場合。
大企業を中心とした副業解禁の流れやフリーランス増加の流れで
「週末だけであれば」「週何回かだけであれば」働ける、という方がどんどん増えています。

またフリーランスで、複数の案件を抱える売れっ子でも
・どこかに属したいという思い
・社会的な保障(社会保険加入、雇用保険加入)が欲しい
というニーズを持っていることが多いです。

そんな時に
・可能な時間で働ける
・社会的な保障を付加出来る
短時間正社員の制度があるというのは、大きな魅力ともなりうるのでは?と考えています。

ただ「短時間正社員」について、弊社としては導入したメリットがとても多かったですが、会社によっては向き不向きがあるかもしれません。

また必要とする人が多い一方で、この制度を変な形で悪用しようとする人が出てくることも懸念しています。
そのせいで大きく規制がかかったりしないことを祈るばかりです。

短時間正社員を採用したい、という方へ

弊社が運営する「エリアマイスター」では、フルタイムで働くことは難しいけれど、在宅ワークや週数時間であればOKという優秀な方がたくさん登録してくださっています。

通常は、弊社でまるっと業務をお受けして、登録メンバーの皆さんでチームを結成し業務に取り組むということが多いのですが。

「雇用したい」という方には人材紹介のサービスも行っております。
登録メンバーの皆さんの中には「短時間正社員であれば、採用してほしい」という方も多くいらっしゃいます。

興味がある、うちでも取り入れてみたい!という方はぜひお気軽にご相談ください。

詳細やお問い合わせはこちらから!

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