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抱きなさい 子を

前回、出産のときのことを思い出してnoteを書いてみたら、母になった頃の記憶が次から次に溢れてきた。
日々の生活に追われていると、”忘れたくない思い出”も、蓋つきのボックスの中に仕舞われたような状態になりがち。
久しぶりに産後のことを思い出していたら、しばらく開いていなかった本の存在を思い出し、本棚から引っ張りだした。

『お母さんと呼ばれるあなたへ』 著者:浜 文子

この本は、娘を産んでしばらくした頃に出会った詩が載っている本。
今は絶版になっていて、手に入れることは難しいと思う。
私がほしいと思ったときにもすでに絶版になっていて、いろいろな古本屋を探してようやく購入することができた。

産後、一切の育児本を読まなかった私が、唯一手元に置いた1冊。

この本の中にある「抱きなさい 子を」という詩との出会いは、私の子育ての軸になっている。

自分中心に生きてきたのに、母になった途端眠くても起こされるし、一人でボーっとする時間も持てない。
寝ているときも、「息してる?」と心配になり、何をしても泣き止まないときは絶望的な気持ちになり途方に暮れる。

私が私であることすら難しくなった状況の中で、気を抜くと愛する我が子にイライラした気持ちを抱いてしまう。

落ち着いて、深呼吸。
そんな余裕、産後数年はなかなか持てない。
でも、私はこの詩と出会ったことで、イライラしたり、余裕がなくなってどうしようもないという状況になることがあまりなかった。

産後の私のメンタルと、私のその後の子育てをこの詩が支えてくれた。

全部は紹介できないけれど、一部を。

抱きなさい 子を

抱きしめなさい
子を
育児書を閉じ
子育てセミナーを欠席し

抱きしめなさい
子を
誰にも遠慮せず
あなたの子を
しっかりと
抱きしめなさい

-------途中省略-------

母たちよ
やがて別れる者として
あなたの子を
しっかり胸に
抱きしめなさい

検索すると、全文を読むことができるサイトもあるので、気になる方は全文を読んでみてほしい。

娘を産んで10年。
あっという間すぎた。
「もっとゆっくり育っていいんだよ」
何度もこの言葉を発した10年だった。

今の法律では、あと8年で成人してしまう。
10年があっという間だったのだから、8年なんてまばたきしてたら見逃しちゃうレベルで過ぎていくだろう。

今はまだ、「ママ~」と言って抱きついてくれるし、抱きしめることができる。
でも、それもあと何年?
できれば、永遠に抱きしめられる関係ではいたいけど、小さな小さな私の赤ちゃんだった娘は、今はもう立って抱っこすると腰に負担がかかるくらい成長している。

夜中に、赤ちゃんの頃の娘の写真を見ては懐かしくて涙が出る。
あの小さな娘に会うことはもうない。
それをわかっているからこそ、今、この瞬間の娘とのコミュニケーションやスキンシップを大事にしたい。

過ぎてしまった時間は絶対に取り戻せないから。
過去でも未来でもなく、今、私たちはかけがえのない時間を過ごしている。


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