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看護師さんとの出会いと別れ。

私は以前、8年間看護専門学校に勤めていました。
その学校が閉校になることが決まり、1年生の授業の担当だった私は、入学打ち切りの2年前、勤務が終わっていましたが、とうとうこの春学校もおしまいに。。。

昨日は閉校前のご挨拶に行って来ました。
久しぶりにお会いした先生方のお顔を見て、まるで自分の母校に帰って来たようなそんな温かく懐かしい気持ちになる。

私は中高生時代小児難病に指定されているネフローゼという腎臓の病気になり入退院を繰り返したことがありました。
3ヶ月づつ入院した4年間。中高生の多感な時期に、合わせて一年間分の日数を病院のベットで過ごしました。

※その時の看護師さんとの出会いを以前のnoteでも紹介しています。

私が病気になったことで、親にも友達にも色んな人に迷惑をかけてしまったことを悔やみ、健康な身体ではない自分自身を恨み、消えてなくなりたい気持ちになった私の、身体も心も支えてくれた看護師さん。
いつか大人になったら恩返しが出来るといいなと考えていた私。

そんな私が10年前にいただいた看護学校の非常勤講師のお仕事。
「よし!しっかりお役に立てるよう、恩返しが出来るように頑張るぞ!!」

担当科目は1年生の『人間関係論』
看護師の資格のない私が、准看護師として働きながら学んでいる皆さんに、どんな学びが提供できるのか。
「人間関係は机上では学べない!」をモットーに。
毎回の授業では、その回のテーマに沿って、体験ワークやグループワークをふんだんに入れた構成にしました。

その中でも特に大切にしたテーマが「患者さんとの関係」
元患者の私だからこそ、伝えられることがある!
そう信じて、患者さんとの人間関係を学ぶ回では、たくさんの『喪失』を体験されている患者さんの気持ちを、模擬的に感じ取れるワークを考えました。毎年、最後の授業の感想では、その回を振り返ってくれる生徒さんが沢山いました。。。

「ケアをする時の声かけ、その時の看護師の表情など全てを患者さんとご家族は見ている。ちょっとした声かけで心が温かくなり闘病意欲が湧いたり、逆に落ち込んでしまうこともあると思う。誠実に患者さんと向き合い寄り添っていける看護師になりたい」

「年齢とともに運転できなくなり、車も手放して、そこから日に日に元気をなくし声も小さくなっていかれた患者さん。そんな患者さんの切なさの本当が分かる気がして、自分の声のかけ方が以前とは違っている。疾患を知ること以上に患者さんの本当を知ること、理解することは大切なことだと思った」

「患者さんは沢山いるけれど、その人がどんな人生を歩んで来て、病気になったことでどんな大切なものを失ってきたのか。その想いを大切に関わりたいと思った」

そんな感想を読んでいると、中学生の『わたし』自身が癒やされていく。。。
辛かった病気の体験から心が解放されていく感覚に。。。
「ありがとう看護師さん。ありがとう先生。ありがとう『わたし』。よく頑張ったね」
「ありがとう学生さん」

昨日、最後の学校。
学校に歩いて向かいながら、走馬灯のように先生達と学生さんのお顔を思い出す。近づくと聞こえてきた先生方の明るく楽しい笑い声。
先生達同士がとても仲良しで、そんなあったかい空間が心地良かった。
大好きだった『わたし』の学校。

10年前はじめての非常勤講師のお仕事にドキドキしていた控え室のソファーに座っていた私。
そっと近づき、すっと隣にしゃがみ、温かい笑顔と優しい声で寄り添って話してくれた先生に「あぁ看護師のプロだなぁ」と、一瞬で感じた。
「この人が近くに居てくれたら、困難や課題も頑張って乗り越えられそうだ」と、そんな気持ちにさせてくれるような。
「あなたのままで良いですよ」と、今の私を丸ごと尊重してくれるような。
そんな先生の隣に居られる安心感にほっとした。

そのくらいから人前で話をするお仕事が増えていったように思う。
人前で話すお仕事の本当のスタートは、彼女との出会いからだったのかもしれない。
『育てよう』なんておこがましい。看護学校の先生と生徒に『育ててもらった』のはこの私だ!

それぞれの先生は、この春からそれぞれの道を歩まれる。
またそこで彼女達は、きっと沢山の人を癒やして成長に寄り添っていかれるのだろうなと思うと、とても心強く感じた。
タンポポの綿毛が飛んでって、そこでまたひとはなも、ふたはなも咲かせるように。そこからまた沢山のタンポポ達を創出するように。
学校が閉校しても繋がっていく先生達の想い。

心の中にあり続ける『わたし』の母校と、先生方や学生さんとの掛け替えのない時間は、私の人生の宝物。

「この授業は病院だけじゃなく、人と関わる上で大切なことばかりだったので、この授業を忘れることはないと思います!」と力強く語ってくれた学生さん。私も誰かの心に残れたかしら?
私のタンポポも高く高く・・・。

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