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ヒデ(Hide)さんの闘病記です。
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#リハビリ病院

闘病記(45)ヒーロー

闘病記(45)ヒーロー

 
 起きて活動をしている昼間はともかく、夜眠ってしまっている間、尿意が全くわからず夜毎おねしょを繰り返す日々が続くと、さすがに自身のことを「オネショマン」と自嘲する余裕もなくなっていった。
 バリバリと仕事をして忙しく働いているであろう同じ年頃の人たちを思い浮かべては、オムツをつけて夜毎のおねしょに悩み、怯える自分をどんどん嫌いになっていく。
 夜はほとんど熟睡できず、「これは尿意かな?」と思う

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闘病記(36)  回復期病棟のお風呂事情

闘病記(36) 回復期病棟のお風呂事情

 
「お風呂は1日おきで、機械浴になります。」
「はい。」
リハビリ病院に転院したとき、パンフレットかプリントのような物の1行を指差しながら声に出して説明をしてもらった。「はい。」とスムーズに答えはしたものの、
「機械浴って何?」
初めて耳にする言葉だった。
「機械浴ってどんなお風呂なんですか?」
と、質問できるような、親しい知り合いはまだ病室にいなかったし、自分でイメージしてみるしかなかった。「

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闘病記(35)  回復期病棟の トイレ事情

闘病記(35) 回復期病棟の トイレ事情

 回復期病棟の患者のほとんどは、車椅子で移動する。いわゆる大部屋から、食堂、風呂場等は離れた場所にあり、足や腰を痛めたり、脳出血や脳梗塞で歩けないという人たちにとって車椅子での移動は必須だった。そして、トイレもまた離れた場所にあった。(もちろん部屋によっては、近い場所になる人もいたが、それでも1人で移動する事はできず看護師さんや介護士さんとともに車椅子で移動した。)
 自分がトイレを使ったのは、最

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闘病記(26)そうだ!相談員さんに相談してみよう。

闘病記(26)そうだ!相談員さんに相談してみよう。

電話口に待ち人が出てくれるまでの間、どんなふうに時間を使っているだろうか?メモ用紙から終わったタスクを消していったり、意味もなくボールペンの後の部分をノックしてみたり。なんにせよ、ゆったりと過ごしているとは言えなさそうだ。自分の場合も、発病する前、仕事をしていた頃はそうだった。意味なくテーブルの上で指をせわしなく動かし、爪の先で音を立てていた。今でも、「イライラ」とまではいかなくとも、ゆったりとは

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闘病記(25)歩行器デビュー。

闘病記(25)歩行器デビュー。

 理学療法士Tさんに見守られながら、自分の足で立つことができるようになって以来、「歩いている人」に対する憧れは日に日に強くなった。リハビリで歩く練習をしている人を見ては「いいなぁ。自分もあぁなれるかなぁ。」と思い、病院のスタッフが忙しそうにしているのを見るにつけ、「あんな速さで仕事をこなしてすごいよなぁ。」と感心し、しまいにはマイケルジャクソンの動画を見て「ああ、こんな風に踊ることができたらどんな

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闘病記(2 2) 「成り行きっス」じゃなかったっス。

闘病記(2 2) 「成り行きっス」じゃなかったっス。

 
入院中に、「どうして看護師になったのか」「介護士になった理由は何か?」といった質問を20代とおぼしきスタッフの人たちにしたことがある。照れて答えてもらえないだろうと思っていたのだがそんな事はなく、しっかりと答えてくれる人が多かった。例えば、「小さい頃からおじいちゃんやおばあちゃんに育ててもらったので、今している事はその恩返しに当たることだと思っています。」とか。「スポーツ1本で学校生活を送って

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