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悲しき熱帯魚(小説)

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人魚姫をベースにしたせつない話です。
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#せつない恋

悲しき熱帯魚 最終章

「あるところに、主人からとても可愛がられている熱帯魚がいました。最初は、他の魚たちと一緒に、大きな庭にある池で泳いでいました。しかし、冬が近づいてくると、主人は自分のお気に入りの熱帯魚をそっとすくい、大きな金魚鉢に一匹だけ入れて、自分の部屋で飼うことにしました。

 主人は、その小さな生き物を大変可愛がり、毎日話しかけました。主人から可愛がられている熱帯魚も、主人のことを大好きでした。できれば主人

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悲しき熱帯魚 7章

 

ある日、龍太郎の独身最後の祝いとして、玉ノ井で祝いが行われることになった。

 龍太郎の男友だちが大勢集まり、吉野も座敷に呼ばれることになった。

 吉野は、色とりどりの熱帯魚が染められている着物を羽織り、座席に着いた。食べきれないぐらいの料理が次々に運ばれ、楽しげな三味線や華やかに女たちが舞う宴のなかで、酒もどんどんと消費されて行った。

 宴の中ごろ、龍太郎は吉野を自分の隣に呼んだ。二人

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悲しき熱帯魚 6章

 二人が溶け合った後、甘い眠りを貪り、数時間後に吉野が先に目を覚ました。

 吉野は、龍太郎の寝顔を愛おし気な表情で眺めた。懐かしい気持ちがついつい浮かんでくる。そっとその額に触れようとしたときに、男の目はゆっくりと花が咲くように開いた。吉野は、やんわりと微笑み、龍太郎の唇を優しく撫でた。龍太郎はゆっくりと起き上がると、吉野と唇を合わせた。

「あなたと一緒にいたい、ずっと」

 唇が自由になると

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