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ダッチオーブンよ、しばしの別れだ
私は自他ともに認める超インドアだ。
どんなに晴れていても、キャンプ以外では家にいたい。
そんな人間が、初めてダッチオーブンを知ったのは、15年ほど前。
NHKの「アウトドア入門」という番組をたまたま観た時だ。
ダッチオーブンなるもので調理をするという。
真っ黒くて、重量感溢れる鋳物の鍋だ。
プロの指導のもと、河原で料理が始まった。
蓋の上にも豆炭を乗せていたのが衝撃的だった。
ワイルドだー!
出来上がったローストチキンやポテトは、こんがりと香ばしい色に仕上がっていた。
うまそー!!
とにかくすごいジャンルであることは分かった。
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なんかちょっと違う、、、
西部開拓時代、荒野で夕陽をバックに料理していたのと同じ方法だなんて!
ロマンを感じる。
ただ、自分がやることになるとは、この時1ミリも思わなかった。
ちょうど同じ頃、私の友人がダッチオーブンを買った。
欲しかったのかなぁ???
22年秋、突然キャンプデビューをした。
諸々不安だった日々の中、有事の際にどこまでやれるのか?という挑戦でもあった。
今では「キャンプ命っす、四露死苦」くらい熱中している。
そんな私に、「未使用ダッチオーブン10インチ」を友人がくれた。
「引き寄せの法則」が働いたのかどうかは分からない。
だって、欲しかったのかなぁ?
いずれにしても、一度も使われる事なく物置で眠っていたというので、勿体無いとは思った。
これもきっと何かのご縁!
打診された際に、いろいろ聞いたのだが、「シーズニング」が大変らしいということは分かった。
そこでYouTubeなどで、事前に調べてみた。(主に夫が)
どうやら使う前に、亜麻仁油などでコーティングすることが必須とのこと。
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ちゃんとコーティングできていないと、即錆びるらしい、、、。
サボテンさえも枯らす私には、いきなりぶっ高いハードルだった。
幸い、数々の超絶美味しそうなダッチオーブン・レシピに魅せられた夫が、シーズニングを買って出てくれた。
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ダッチオーブンデビュー
本当だったら、春からスタートが理想的なのかもしれないが、我が家では装備も甘いまま冬キャンプへ突入することになった。
電源サイトで電気毛布というチート技があったおかげだ。
そして、ダッチオーブンもとうとうデビューすることになった。
王道の「ビーフシチュー」
1月、関東のキャンプ場。
黄昏時にもかかわらず、私はメタルマッチでなかなか火がつけられずにいた。冬の乾いた空気の中、汗が額ににじむ、、、。
このままでは炭の準備が遅れてしまう、、、。
子供は、夕飯がとんでもなく先になることを察知し、カップヌードルが食べたい!と言い出した。
いつもならご飯が食べられなくなるでしょ!と一喝するのだが、たしかに最低2時間はかかるだろう。しぶしぶ、了承した。
なんとか炭が起き、そこからは夫に交代した。
肉を炒め、玉ねぎも炒め、トマトソースなども投入し、ちゃんと蓋の上に炭を載せ、ビーフシチューの煮込みが始まった。
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陽は完全に落ち。寒さがぐっと増すなか、空腹もピークだった。
しかし、ここでカップヌードルの誘惑に耐えねば、、、。ダッチオーブンだって15年、陽の目を見るまで頑張ったんだ!
ただ震えながら、私もひたすら待った。
そして、何度も味見をしていた夫がやっと、OKを出した。
本格的キャンプ飯、ダッチオーブンによるビーフシチューの出来上がりだ!
ランプの灯りの中、ハフハフ白い息を吐きながら、皆で食べ出した。
もう限界過ぎて写真を撮り忘れたが、人生でこんなにお美味いビーフシチューは初めてだった!
肉はホロッホロで、野菜の旨味とすべてが渾然一体となって、実に濃厚な味わいだ。
ポカポカと温まりながら、ダッチオーブンの凄さを思い知った。
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毎度撮れてないです、、、
その後も、冬キャンプの間中、ダッチオーブンは活躍した。
一番簡単なのはローストチキンらしいが、やっぱり初回の刷り込みからか毎度ビーフシチューとなった。
赤ワインに牛のモモ肉などを漬け、玉ねぎはあらかじめ切っておく。
前もって準備しておけば、キャンプ場では炒めて煮るだけだ。
にんじん、じゃがいも、ブロッコリーはスチーマーで蒸しておき、出来上がったシチューに添える。
そうするとかなりの時短になるのと、煮崩れないし、色も鮮やかなままだ。
火力の維持など、家での調理とは勝手が違うが、仕上がりは圧倒的に美味しい。
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映えます!
ただ、悲しいことに、、、
今季の冬にあの鋳物のダッチオーブンは登場しない。
キャンプ愛は強いし、どんな後片付けも苦にならないと書いたこともあるが、、、
ハッキリ言うと、食べた後が超大変なのだ!
食べ終わったら残りをすぐ容器に移さないといけない。
のんびりワインを堪能とかしている余裕はない!
火を落とす前に中の汚れを取り、すぐシーズニングを行うのがきっと正しいのだが、、、。
夜暗いとその作業はできないので、できるだけ拭き取って、家に戻ってからやることになるのだ。
そして、鋳物のダッチオーブンは当たり前だが重い。
亜麻仁油を塗ってはオープンに入れ、という作業を繰り返す。
月1回か2回程度のキャンプでは、毎度シーズニングをしっかりほどこさないと、本当に錆びる。
最後に作ったビーフシチューに若干、鉄の味がしたように感じたのは、きっと私の手入れが完全ではなかったのだ。
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というわけで、最後にしっかりコーティング処理をしてからは、ただいま休憩してもらっている。
他にお譲りするという案もあったのだが、私の中では、来るべき義実家生活での大事な相棒になる予感がするのだ。
本来、かまどやいろりで年中火にかけ、料理をするのに、最適な鍋である。
使い込めば、コーティングが厚くなってくるはずだ。
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ダッチオーブン料理を諦めた訳ではない。
もっといろいろ作ってみようということで、我が家に合うダッチオーブンをついに夫が見つけた!
(続きは、冬キャンプが本格化してから記事にする予定です)