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さよなら、私の勲章(お肉ちゃん)。

お風呂上り。
なかなか落ちない脂肪の塊をつまんでは、ため息をつく日々が続いている。


元々、痩せ型というわけではなく、いわゆる標準体重だったのだけど、ここ数年でそこからプラス3キロほど増えてしまった。
体重計の数字と一緒に目に余る脂肪の塊も増えてしまったというわけである。

原因はわかっていて「忙しい」を理由にした、あまりに自由すぎる食生活。

お腹と気持ちが満たされればそれでよしとばかりに、栄養バランスなんて完全無視の食事。やる気も食欲もない癖に、心と口寂しさから買い込んだスナック菓子を何袋も開けてしまうなんてことは日常茶飯事だった。

・・・そりゃ太りますわ。


そんな生活も、確実に重くなった体も、見て見ぬ振りを続けてきたけれど、さすがに目にも身にも余るお肉をほっておけなくなった。

とはいえ、生活をすぐに変えられるわけもなく、ひとまず「16時間断食」なるものを始めてみることにした。方法はいたってシンプルで、16時間何も食べない時間を作るだけ。あとは仕事のない日に週に2回程度、1時間トレーニング。

約3週間の成果:-1kg。


まあ、数年かけて溜め込んだお肉たちがそんなすぐにいなくなってくれるはずがない。それになんならきっちりルールを守れているのはここ1週間くらいだ。最初の2週間は「忙しい」を理由に微妙にさぼっている。ということは実質1週間で-1kgは良いほうなのか?

なんてことを考えながら、これを書いている今。


「あんな生活するんじゃなかったなあ」となかなか落ちない脂肪を見ながら思ったこともあった。だけど、あの頃の私はそうするしかなかった。

自ら選んだ不安定な道。正社員でもなく、フリーランスでもなく、起業家としてでもない、名前のない生き方。「その他」の生き方。なんとか生活はできていたけれど、余裕なんてちっともなくて、おまけに30歳を迎えて、結婚・出産すら描けない生活。とことん「普通」から外れた生き方。

こんな生き方でいいのだろうか?でも、この生き方しかできないし・・・

四六時中、そうやって自問し続けていた。
誰に相談することも出来ず、やり場のない不安は食べることでしか解消できなかった。

「負けてたまるか」と常に戦闘態勢でいなければ、今にも崩れそうな自分を守ることはできなかった。

自分の生き方に、自分自身に疑心暗鬼になっていたあの頃は、誰と話しても自分と比べてしまっていた。だから、人を寄せ付けないようにするしかなかった。


そうするしかなかった。
そうだ。全部、必死で生きてきた証だ。


誰彼構わず、戦闘態勢に入ることも、
極力人と関わらない生き方も、
そして、そんな日々で蓄えてしまったこのお肉も。

あの頃の私には必要なことだった。
そして今、それが少しずつ必要なくなってきている。

長くて深い年月を経て、私の一部となったものは、そう簡単には取り除けない。焦ったって仕方ない。

せっかちな私はついついすぐに結果を求めてしまうけれど、
今は「ありがとう」「がんばったんやなあ」と声をかけながら、少しずつさよならしていこう。

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