わかりあえない僕等でも
読書の秋。といっても、普段から定期的に本は読むのだけれど、秋の風を感じる夜はやっぱり、本が読みたくなる。
そんな夜に手に取ったのは、『サバイバル・ウェディング2』という小説。ここ数年ずっと、エッセイ系ばかり読んでいた私にしては珍しい選本。しかも、その本が置いてあったのは「テレビドラマ関連本」という棚。「ドラマ関連」とか「タレントエッセイ」とか、少し前なら、絶対に近寄らなかったなぁ。だって、なんだかすごくミーハーな気がして、嫌だったんだよね。・・・まぁ、とがっていた頃の思い出ということで。
この本は、波瑠さんが主演だった『サバイバル・ウェディング』というドラマの原作本の続編。
今、結婚願望や焦りがひと段落している私は、ドラマ自体も、タイトルからして、初めはがっつり婚活ドラマだと思って、正直あまり乗り気じゃなかった。けどある日、なんとなく見てみたら、一気にはまってしまった。
もちろんメインテーマは婚活なんだけれど、それでも仕事が軸になって主人公の生活が描かれていたのが大きくて、すごく共感しやすかった。さらに伊勢谷友介さん演じる編集長のブランドうんちくや名言にも、どんどんはまっていって、最終回は見事に号泣。
そんな久々にドはまりしてしまったドラマの主人公は、30歳で、仕事もまだまだって設定だったんだけど、続編の主人公は、男より稼ぎ、男より酒を飲み、ファッションも旅行も大好き、仕事もプライベートも充実している広瀬麻衣子35歳。さらに、サブタイトルの「わたしひとりで生きていけますが結婚しないとダメですか?」一言で、即購入決定。
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そして、一気読み。
前作の主人公以上に仕事がメインで、それがゆえの苦悩がまるで自分のことのようですごく苦しくなった。
中でもとくに胸が締め付けられたのは、お母さんとの場面。
結婚を心配する母と、母親を安心させてあげたい、申し訳ないと思いながらも、それを疎ましく思ってしまう娘。それが完全に自分とリンクする。私の場合、麻衣子よりひどいかもしれない。
❝ 30歳。彼氏も、予定もなし。そのうえ、正社員でもない一人娘 ❞
心配しない親がいるだろうか。
うちの母親は本人も気にしているけれど、昔は少し毒親に近いところがあった。過干渉なうえに、ヒステリック。父親に似て自由人気質で、母親に似て頑固な私はそんな母親が大嫌いだった。今でさえ、普通に話せているけれど、親子関係は正直最悪だった。
親子関係を壊したのは1度や、2度じゃない。関わりたくないと思ったし、実際に全然連絡すら取らない時期もあった。
それが今じゃ、月に1度は家に遊び来るようになった。もちろん、私もそれを楽しみにしている。
そうなれた理由はいくつかあると思うけど、1番は私がきちんと自分の想いを伝えようとすることなんじゃないかと思ってる。
私は自分の母親が毒親だったかどうかわからないし、正直どっちでもいい。
けど、親子関係がうまくいかない原因は「きちんと伝えようとしないこと」だと思う。
どんなに、口うるさい母親にだってその言葉に裏に「幸せになってほしい」「悲しい想いをしてほしくない」そんな想いがある。そして、そんな母親に反発してしまう私たち子どもにもちゃんと「こうしたい」「わかってほしい」という想いがある。
簡単なことじゃないけれど、どちらかがそれを伝えようとするだけでいい。
分かり合うことはできない。
だって、いくら親子とはいえ、違う人間だもの。
でも、まずは伝えようとするだけで、相手の考えがわかって、お互いの想いを分かち合うことはできる。私も母親との関係が最悪だった時期は、「どうせわかってくれないから」そう思っていたけど、わかってもらう必要なんてない。
「私はこう思ってる」
「私はこう考えている」
まずは、ただそれを伝えてみること。それだけでいいと思う。
いい関係を築けている今でさえ、私と母親は分かり合えってはいない。
常識的で、心配性な母親と、常識という言葉が苦手で、なんとかなる精神に年々磨きがかかる私。
見事に正反対。だけど、お互いの職場での話や色々な話をしていく中で、「この人は、こういう考えなんだ」ということがわかってきた。相手の考えを否定もしないし、肯定もしない。
その時間が、そんな関係が、すごく心地いい。
母さんも、同じだといいな。
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けど、結婚するかしないかとそれはまた別のお話。
いや、完全に別ではないのだけれど、長くなってしまったので続きます。