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「やば」は七並べのジョーカーなので用法用量十分ご注意ください
今に始まったことじゃないですけど、最近何かにつけて
「やば」
っていう方多いですね。
確か藤井風さんの歌もこの言葉をタイトルに使っていましたね。
あ、
別にね、今回はおじさんが言葉の乱れを説教してやろうと腕まくりしているっていう訳じゃないんですよ。もし「やば」って言葉のユーザーだったり、この言葉に対して敵愾心みたいなものを抱かれている方はまぁ肩の力を抜いてください。
なんて言いながらねいきなりひっくり返すと、やっぱりこっちもおじさんですから、というよりは元々こういう軽い言葉が苦手な性質を持っているものでして「やば」って言ってる人を見るとテメーコノヤロー状態だった訳ですよ。
正直なところ「やば」に対する始まりはそんなもんです。
でも、考えてみると「やば」って言葉に似たものって少し前だと
「うける」
がそれに当たったわけです。
そういえば最近あんまり「うける」って言ってる人見かけなくなった気がしますけど、これは気のせいなのか単純におじさんが若い人の会話を電車の中でアクシデント的に聞いてしまっているくらいでしか出会わないからなのかは分からないです。(盗み聞きではないですからね)
余談ですが北京オリンピック日本代表のサッカー選手のカレンロバートさんが自身のブログで合いの手のような形で「うける」って使っていたんですよね。私より少し世代が下の人たちも使っていた言葉なのかな。まぁいいや。
でね。
結局のところ「やば」も「うける」も変わらんわけですよ。
変だとは思いますよ。
だって、本来持つ言葉の意味を考えると「やば」と「うける」はまるっきり違いますからね。
そう。
そうなんです。
「やば」も「うける」も、本来言葉が持つ意味を超えたところで汎用的に使われているということがポイントなんですよ。
流行り言葉を使わない世代だったり、流行り言葉を使う人が鼻に付くようなタイプの方はこれが嫌いなんだと思うんですね。
やばくないことでも「やば」。
うけてないところでも「うける」。
いやいや
ちょっと待てよ
まだ面白いこと言ってねえから
って言いたくなる。
つまりね。
「やば」も「うける」も七並べのジョーカーなんですよ。
本来ね、人は成長するに連れて言葉を覚えていくし、そして相手とのコミュニケーションの中で自分の気持ちを的確に示し、相手のボールを投げ返すうえで語彙が必要になります。
だから、小学校低学年と高学年、中学生、高校生、大学生、社会人になるに連れて話し方が変わってくるんです。当然、歳を追うごとにコミュニケーションに用いられる単語も表現も高度になっていくということです。
「やば」と「うける」っていうのは、そういう成長を伴わなくても意思疎通が可能になるマジックワード、つまりジョーカーということなんですね。
相手の意思とか関係なく、「やば」って言っておけば会話が流れていく。コミュニケーションとしては非常に楽なんですよ。
あとね。
流行り言葉を使うっていうのはそれだけで自分のキャラクターを軽いものに出来るというメリットもあります。
子供の頃ってどうしても、穏やかで真面目なタイプの子は教科書通りの言葉を覚えて、相手を思いやって話すことを教えられるので、その通りに実践します。
でも、これがちょっとクラスの中でも調子に乗っているタイプの子たちは本来コミュニケーションとしては綺麗とは言い難い言葉や、悪意みたいなものを一つのツールにして話を進める。
だから同じ子供でも喋り方がまるで違うし、この辺りから既に分岐しているということになります。
これが高度なコミュニケーションが出来る子は、教科書通りの喋り方をしながら軽い表現も同時に習得する。これが出来る子はマジメな子とチャラい子の間を横断することが出来るタイプに成れます。
ただ。
これが「やば」や「うける」に類する表現に慣れるとどうなるか?と言えば、コミュニケーションが貧弱になるということです。
さすがに社会人になって「やば」では相手が自分の感情を察してくれない時もありますし、お客様とのコミュニケーションで七並べをしていくような状況の時にジョーカーばかり使われたのでは「なんだコイツ」となる。
社内の会議とかコミュニケーションだと案外そういうジョーカーを使うことっていうのはあります。まぁそれは私がITという比較的緩い環境に居るからかもしれませんが…。
とはいっても、元々が「やば」を汎用的に使うサイドの子でも案外ちゃんとしていて、言葉とコミュニケーションを吸収できていればマジメサイドの表現もこなせるようになることもあります。
だから「『やば』なんて言葉使ってたら馬鹿になるから使うんじゃない」っておじさんが説教したいわけではなくて、ジョーカー使わずに七並べしなくちゃいけない状況には確実になるから、気を付けていこうぜ!ってくらいの話でなんですよ。
ちなみに私はコミュニケーションを軽くするために文頭に「超」を二十歳過ぎてから使うようになったタイプです。
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