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リスク・アプローチ、監査制度

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制度、歴史、法律
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#監査人の責任

報告基準 三 無限定適正意見の記載事項

「一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行なった」旨の記載には、監査人が正当な注意を払って監査を実施したという意味が含まれている。

監査報告書は、財務諸表に対する監査人の意見を表明する手段であるとともに、監査人が自己の意見に関する責任を正式に認める手段でもある。
監査報告書において監査人の責任の範囲を明確に記載した上で意見を表明することは、監査人自身の利益を擁護するという効果も有す

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報告基準 二 監査報告書の記載区分

★2018年改訂
・監査人の意見の記載箇所を冒頭に変更
・新たに意見の根拠の区分を設ける
・経営者の責任を経営者及び監査役等の責任に変更
・監査役等の財務報告に関する責任も記載する

「監査上の主要な検討事項」の記載は、財務諸表利用者に対し、監査人が実施した監査の内容に関する情報を提供するものであり、監査報告書における監査意見の位置付けを変更するものではない。よって、監査意見とは明確に区別しなけれ

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監査上の重要性

一般的には、脱漏を含む虚偽表示は、「個別に又は集計すると、当該財務諸表の利用者の経済的意思決定に影響を与える」と合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

注:重要性について判断するのは監査人である。財務諸表の利用者ではない。

■監査基準の改訂2002
★監査上の重要性について
監査上の重要性は、監査計画の策定と監査の実施、監査証拠の評価ならびに意見形成のすべてに関わる監査人の判断の

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監査基準の必要性

・監査の証明水準の担保
・監査人の責任範囲の明確化

公認会計士による財務諸表の監査は、財務諸表の信頼性を担保するための制度であり、/その規範となる監査基準は、財務諸表の作成規範である会計基準とともに、適正なディスクロージャーを確保するための資本市場の重要なインフラストラクチャーである。

★監査人の資格及び条件について基準を設ける理由
① 相当の専門的能力と実務上の経験とを備えた監査人にして初め

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報告基準の改訂

<監査報告書の記載区分等>

①監査の対象
②経営者の責任
③監査人の責任
④監査人の意見

「重要性」と「広範性」による判断

<追記情報>

強調事項と説明事項

「正当な注意の行使」を確保するための方策

・品質管理のシステムの整備と運用

・監査調書の整備と保存

・一般に公正妥当と認められる監査の基準に従い監査を実施

・監査契約に先駆け十分な検討を行う

「正当な注意」には、職業的懐疑心をもって監査に臨むべきことが含まれる。
趣旨:重要な虚偽記載が存在する徴候に関して、監査人が適切に対応しなければならない。  

財務諸表監査の目的

不正の摘発自体を目的としているわけではない。

「内部統制の有効性」について意見表明するためのものではない。

「経営者の作成した財務諸表に重要な虚偽表示が含まれているかどうか」について、/監査人が、自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を、意見として表明することを目的としている。