監査上の重要性
一般的には、脱漏を含む虚偽表示は、「個別に又は集計すると、当該財務諸表の利用者の経済的意思決定に影響を与える」と合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
注:重要性について判断するのは監査人である。財務諸表の利用者ではない。
■監査基準の改訂2002
★監査上の重要性について
監査上の重要性は、監査計画の策定と監査の実施、監査証拠の評価ならびに意見形成のすべてに関わる監査人の判断の規準であり、次のように適用される。
(1)監査人は、監査計画の策定に当たり、財務諸表の重要な虚偽の表示を看過しないようにするために、容認可能な重要性の基準値(通常は、金額的な数値が設けられる)を決定し、/これをもとに、達成すべき監査リスクの水準も勘案しながら、特定の勘定や取引について実施すべき監査手続、その実施の時期及び範囲を決定し、監査を実施する。
(2)監査人は、監査の実施の過程で判明した重要な虚偽の表示につながる可能性のある事項については、その金額的影響及び質的影響(例えば、少額であっても他の関連項目や次年度以降に重要な影響を与える可能性がある)を検討し、必要であれば、監査の実施の結果を見直したり、追加の監査手続を実施するが、このような金額的・質的影響の評価に関わる判断の規準も監査上の重要性の一部となる。
(3)監査人は、監査意見の形成に当たって、会計方針の選択やその適用方法、あるいは財務諸表の表示方法について不適切な事項がある場合に、/当該事項を除外した上で適正とするか又は財務諸表を不適正とするかを判断するが、/この判断の規準も監査上の重要性を構成する。
(4)監査人は、監査を実施する上で一部の監査手続を実施できなかったり、必要な証拠の提供を得られないなどの制約を受けた場合に、/当該事実が影響する事項を除外した上で意見を表明するか又は意見の表明をしないかを判断するが、/この場合の判断の規準も監査上の重要性の一部となる。
財務諸表の監査における監査上の重要性は、監査の計画から意見表明までの各局面で、監査人が職業的専門家としての判断を行うに当たり考慮すべき重要な要素である。
監査上の重要性は、監査計画の策定と監査の実施、監査証拠の評価並びに意見形成の各局面で、監査人が職業的専門家としての判断を行うに当たっての規準であり、監査人の責任を限定する機能を果たす。
監査上の重要性は、財務諸表の利用者の経済的意思決定に与える影響を考慮して判断される。