初めての面談で福祉がすること
この記事は、以下の日経朝刊での「#ベテラン社員に学んでほしいスキル」に投稿させていただきます。
最初に触れておきたいのは「なんで福祉と結びつけるのか」と疑問に思われると思います。
福祉という専門職の中で「人と対峙するときの観察は、そのほかの職種でも役に立つことがあるかもしれない」と思っています。
ベテランさんでも、新人さんでも色んな人生経験をしてきた中で培ってきて得たことは、どんどん活かしていってほしいと思います。
本題はここから
福祉サービスの利用や相談に乗るとき、相談者はどこを見て、何を考えているのか。(自分がしていたことではありますが)
●足音
車いすや杖を利用しているかどうか。足を引きずっているか、摺り足かどうか。足音によって、人数や子供と一緒なのかも推測する。また、靴の種類(革靴、スニーカーなど)や速さも予測できる。
●服装
身だしなみで経済状況や生活状況を推測できることもある。服の汚れや襟や袖の汚れ具合やヨレ具合など。また、ある程度の体格が分かるので、食生活も考えてしまう。
●髪型
髪の毛が整っているかを見ることで、生活スケジュールを推測してしまう。ボサボサの状態で来ていると「起きてすぐに来たのかな」と思ったり、「人と会うという習慣がないのかな」と考えたりします。
髪の長さや色で、やんちゃさや趣味や嗜好も考える。
●熱い飲み物を出した時に飲むタイミング
このことは、天候や猫舌なのかによって変わりますが、熱いコーヒーやお茶を飲むタイミングで「緊張しているか」を観察します。すぐに飲むと、緊張はそんなにしていないかもしれないのかな。カップの持ち方で、内向的なのかも考えてしまいます。
因みに、このことは漫画の「探偵学園Q」で出てきたので、気にするようになりました。
●話している時の視線、態度
直視しているか、目をそらすことが多いのか、目の向きによっても考え事をしていることを見ている。また、泳いでいるか、そわそわしているかも気にしてしまいます。
そして、「話すとき」「聞くとき」では、手の位置をどうしているのか、もチラッと見ます。肘をついているのか、指を組んでいるのか、ずっと膝の上なのかを見たりします。
●文字、というか書き方
利き手もそうだけど、書く時に丁寧に書いているか、投げやりに急いで書いているか。書く時の姿勢で、物事に対する真剣さを推測します。
文字を見ても、筆跡で性格を考えています。
●携帯電話をどこに置いているか
携帯電話を机の上に置くときは、わざとそうしていることも考えますが、時間を気にしていたり、誰かの連絡を待っているのかな。
●地理的条件
近くに何があるのか。福祉の事業所だとどこが近いのか、公共交通機関の利用のしやすさ、移動時間も聞いてみたりして、送迎する場合のことも考えます。
という具合にですが、他にもあるかもしれません。
こんなに観察していると、相手からしたら気味が悪いかもしれませんが、こういう「初対面の印象」が後になって、役に立つこともあります。例えば、サービスを利用するに至らなかったとしても、他の事業所の相談員から「〇〇の事業所利用しているよ」と聞き、なかなか対応が大変だ、という話を聞くこともありました。
また、面談という短時間でチェックできるのは限られている。でも、言ってしまえば「面談が始まる前も、終わって事業所を出るまでも」確認している。
また、面談は、長時間するのがいいとは思いません。どれだけ、利用者に負担にかけずにできるかが大切だと感じることもあります。
「推測」ばかりではありますが、初めて会う人に自分のことを素直に話せる人はそんなにいるとは思いません。だから、責めて「見た目」「仕草」で推測することで本人の理解をしようとします。
また、利用者にとっても、福祉サービス利用のための面談というのはしたことがなく、緊張する。また、相談者も受け入れる雰囲気で対応しますが、こちらも「どんな人なのか」「どんな相談なのか」分からないから緊張する。
まぁ、困ったことに職業病みたいなもので、日常生活でもちょっと気にしてしまいますが。
お互いに「出会い」は大事にしていきましょう。