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この本はいかが 070
るん( 笑 )
酉島伝法 集英社文庫 2023年9月25日第1刷
(1)三十八度通り (2)千羽びらき (3)猫の舌と宇宙耳 の3作品で構成されている超SF作品です。
(1)では1行も油断できません。何が起きるのか、しでかすのか、全く分かりません。主人公の土屋氏が、式場勤務で、体調不調で、夢見が悪く、嫁が出ていく、のは分かりましたが…。土屋氏の明日が心配です。
(2)は高齢化社会の断面を見せつけられている感じです。とてもこわいSFです、本当にSFなのでしょうか。
(3)は一転して、川北まこと君の小学校生活の様子です。友情や冒険心は大切ですが、危険もあります。いや、学校も変ですよね。
3作品は同時代の可能性があります。共通する言葉や出来事があります。
「思考盗聴」「愈水( ゆすい )」、「猫」とかです。科学が発展していそうで、怪しげな考え方や行為があふれている日常世界です。
酉島作品として、共に創元SF文庫の「宿借りの星」「皆勤の徒」もおすすめです。