makoto kondou

60歳代、男です。読書、散歩、写真に忙しい毎日です。よろしくお願いします。

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最近の記事

この本はいかが 062

梅雨物語 貴志祐介 角川 2023年7月14日初版発行 3つの中編作品で構成されているホラー小説です。独立しています。それぞれを紹介します。 皐月闇(さつきやみ)…中学校の教員だった老人宅に教え子の女子がきます。持参した亡き兄の俳句集を読み解いていきます。俳句に詳しくない読者にも、分かりやすく述べられています。途中から、事件を感じさせる方向へ。 ぼくとう奇譚…1936年6月の話です。夢に出てくる黒い蝶がキーワードとなります。ホラーというより幻想小説の枠でしょうか。夢は恐ろし

    • この本はいかが 061

      憧れの作家は人間じゃありませんでした  4 澤村御影 角川文庫 2023年4月25日初版発行 御崎禅(みさきぜん) は人気小説家であり、公の場に全くでない覆面作家であり、そして吸血鬼です。瀬名(せな)あさひは、高校時代に読んだ彼の小説に感動した、真摯な、人間の編集者です。 事件解決のため警察に協力する御崎にあさひが作家を守る、原稿を書いて欲しい、と同行して、いつも大変な目に遭ってしまうのです。 今回もやれやれです。なんと御崎の母、吸血鬼にしたという意味での母が、来日するので

      • この本はいかが 060

        不村家奇譚 彩藤アザミ 新潮社 2021年11月30日発行 幻想、ホラー小説ですが、とても切なく悲しいお話です。ハンカチが必需です。何世代にもわたり呪いに縛られる不村家。奉公人は菊太郎以外は全て異形の者でした。 章ごとに主役が変わります。視点が変わると、視える事柄に変化があります。呪いにからまれたまま一族の時間が流れていきます。立ち切らない、切れなかったのは何故か。「あわこさま」とは何か。 途中から、別の土地の憑き物に関連する人も混じります。世代が替わって、出来事も変化しま

        • この本はいかが 059

          潰(つい)える 最恐の書下ろしアンソロジー 澤村伊智ほか 角川ホラー文庫 2024年8月25日初版発行 6人によるホラー短編集です。長編として読みたくなります、短編だから、多くの時間を要しないのは有難いのですが。 みんな定評あるホラー作家ですが、一穂ミチ作品があるのは意外でした。 各作品を紹介します。 澤村伊智…霊がいるという店を取材した女性のレポート形式。終わり方が怖いです。 阿泉来堂…作家を志す男が母の故郷で祭りの正体を知る。ラストの暗示が強烈です。 鈴木光司…名作「リ

          この本はいかが 058

          創約 とある魔術の禁書目録(インデックス) 11 鎌池和馬 電撃文庫 2024年9月10日初版発行 主人公の上条当麻(かみじょうとうま)は、不幸を呼び寄せる体質、魔術を打ち破る右手、留年すれすれの高校生です。そして、彼は第10巻で死亡しています!。 目覚めた上条は、アンナ、クリスチャンと共に地獄から脱出するべく、前進していきます。なのに、地獄めぐり?をやっているようですね。 次々に恐ろしい、ひどい目に遭う3人ですが、上条の妄想が原因みたいです。若いからねえ。彼だけが大変かと

          この本はいかが 058

          この本はいかが 057

          スワロウテイルの消失点 川瀬七緒 講談社 2019年7月22日第1刷発行 法医昆虫学捜査官シリーズの第7作目です。 岩楯祐也(いわだてゆうや)刑事と赤堀涼子(あかほりりょうこ)昆虫学者が難事件に挑むシリーズです。 昆虫が事件に大きな影響を与えています。カブトムシやアリ、クモ、はてはつばめも(昆虫ではないですね)出てきますが、殺人現場だから、うじ虫類の記述がひんぱんにあります。一切イラストはないので、苦手な人も大丈夫?かな。 冒頭からぶっ飛んでいます。解剖に立ち会っていた岩楯

          この本はいかが 057

          この本はいかが 056

          正直申し上げて 能町みね子 文春文庫 2024年11月10日第1刷 この本は、週刊誌(2021年10月から2024年4月まで)掲載分から選抜・改稿されたもので、120回分あります。 時事を扱っている回が多いので、掲載時の社会情勢がよく分かります。 筆者の忌憚ない意見に、私もそう思うとか、そんな状況だったのか、と納得、驚きながらページをめくっていきます。 けっこう厳しめの指摘が多いですが、その理由をしっかりと書かれているのでとてもいいです。週刊誌の掲載ということで、書く内容や

          この本はいかが 056

          この本はいかが 055

          エレジーは流れない 三浦しをん 双葉文庫 2024年10月12日第1刷発行 心地よい小説はさすがに三浦ワールドです。 5人の男子高校生の青春小説です。 主人公の穂積怜には、父がいませんが、母が2人います!。その理由を本人は未だに知りません。怜は少し冷めたところもありますが、楽しい高校生活を過ごしている様子です。仲間から聞いた博物館土器盗難事件もその場限りの話題となる予定でした。が、この事件は彼らの進路や人生観にまで、影響を与える展開になります。若者の行動力は素晴らしいです。

          この本はいかが 055

          この本はいかが 054

          出署拒否  巡査部長・野路明良 松嶋智左 祥伝社文庫 1993年9月20日初版第1刷発行 巡査部長の野路が、出勤できなくなった新人友枝と捜査を通して、共に成長していく話です。 この作品は1993年に発行されました。職場(ここでは警察社会)、人間関係、物事の捉え方等が丁寧に描かれていて、時差を感じさせません。 野路は白バイ乗りでしたが、事故の後遺症で今は内勤です。そんな彼に友枝のことが託されます。心を開いてくれない(どうやら叱責とプライド、家庭環境等が原因のようです)友枝は近

          この本はいかが 054

          この本はいかが 053

          岸辺露伴ルーヴルへ行く 北國ばらっど 集英社オレンジ文庫 2023年5月31日第1刷発行 この本は実写版映画を小説にしたものです。原作者の荒木飛呂彦の漫画版もあります。どれもおもしろいです。 主人公の岸辺露伴は「ジョジョの奇妙な冒険Part4」の登場人物です。好評で、「岸辺露伴は動かない」シリーズが出ています。 露伴は人気漫画家であり、人を一瞬で書物化し、記憶を読んだり書き込んだりすることが出来る能力、スタンド名「ヘブンズドアー」を持っています。露伴と担当編集者の京香が、ル

          この本はいかが 053

          この本はいかが 052

          実は、拙者は。 白蔵盈太(えいた) 双葉文庫 2024年5月18日第1刷発行 痛快時代劇です。時代は江戸時代で、徳川吉宗のころ(1723年と限定できます)の江戸です。青菜売りの八五郎青年が主人公です。彼には特別な才能(?)があります。それは影がうすいことです。物の怪ではありません、存在感がないのです、その場所でいる、声を出しても、周囲の人に気づいてくれないことが多いのです。また、彼は人の特徴、目や動作の記憶が素晴らしくて、変装している人の正体が分かるのです。分かってしまうの

          この本はいかが 052

          この本はいかが 051

          彼女は逃げ切れなかった 西澤保彦 PHP 2024年9月5日第1版第1刷発行 超能力推理披露小説という部類になるのでしょうか。 主人公は古都乃(ことの)さん、60歳、元警察官です。そして、油布(ゆふ)姉妹、11歳、双子、母子家庭。この双子には特殊能力があります。そして、その輝きを古都乃さんだけが視ることができます。 なぜ、能力があるのか、視ることができるのか、書かれていないので、その設定を受け入れるしかありません。 第1話を読みながら、これ以後もこの3人が中心となり事件を解

          この本はいかが 051

          この本はいかが 050

          営繕かるかや怪異譚 その参 小野不由美 角川書店 2022年8月26日初版発行 主人公尾端青年の職業は営繕です。家の修理をすること、大工ようなものでしょうか。 各話で登場する人(依頼主になる)は、怪異に困り果てています。 無人の二階塔に視える女、亡者が呼ぶ家、歪んでいくドールハウス、他、 それぞれ深刻です。悩みを知った人が紹介してくれたのが、尾端青年です。 彼は決して依頼主の話を否定しません。霊能力者ではなく、あくまで家の修理で解決を図ります。除霊とか使役の活躍する場面は全

          この本はいかが 050

          この本はいかが 049

          春のたましい 神祓(かみはら)いの記 黒木あるじ 光文社 2024年3月30日初版1刷発行 神を鎮める物語です。世界的疫病(文中には明記してないが、新型コロナだと思います)のため、各地でお祭りが中止されます。その結果、地神の暴走が始まりました。九重十一(ここのえ  とい)は、そんな神を鎮める、処分する活動をしています。 九重は高度の霊能力者です、全身黒色で装い、烏(からす)の化身?、烏を使役とする?、若い女性です。彼女は、祭りを復活してほしいと、まず話し合いから始めます。し

          この本はいかが 049

          この本はいかが 048

          人生に期待するな 北野  武 扶桑社 2024年2月3日初版第1刷発行 御存知、北野武のエッセイです。 漫才師、俳優、監督、小説家と幅広い活動をしています。もちろん、エッセイ集もありますが、最新作(2024年11月現在)を紹介します。 題名から少々不穏です。飾ることなく、主張をしているようです。本は4章とあとがきから構成されています。章である程度テーマが絞られていますが、少年期、下積み時代、コロナ過、バイクの事故はか、読者に伝えておきたいことが山のように押し寄せてきます。決

          この本はいかが 048

          この本はいかが 047

          ケチる貴方 石田夏穂 講談社 2023年12月6日第4刷発行 2編が入っています。両方働いている女性のお話です。 それぞれ「悩み」があります。それに日々の仕事、生活、意識をどう向き合わせているのか、記述されます。勿論、お話ですから調理加工されていると思います。自分はこの2人のような状況でないので、お話を楽しむことになりました。しかし、「そうそう、それよ」、「これは現実世界」と感じる方も多いのではと、考えてしまいます。 お話の展開を、期待と心配の両方で見守りました。 読み終え

          この本はいかが 047