この本はいかが 107
あいにくあんたのためじゃない
柚木麻子 新潮社 2024年3月20日発行
エンターテイメント小説です。6つの独立したお話です。
題名「あいにくあんたのためじゃない」が素晴らしいです。
1話目の料理評論家の話から的中しています。
自分は第5話の「商店街の~」が気に入っています。謎とその後が楽しみな終わり方になっています。
各話の設定がとても微妙で、日常性が十二分にあり、かつ、登場する人達がとても色が濃いので、思わず感情移入してしまい、「そうだそうだ!」となり、自分を見失いそうになります。だから、高い位置から、神様の目線のごとく眺め、一気に読み進めないといけません。さもないと「柚木ワールド」から出ることが困難に。面白いからいいけど。
より楽しさを求める人には、「ランチのアッコちゃん」(双葉文庫)シリーズもおすすめです。
表紙イラスト、題字、話の扉絵の小イラストも素敵だと思います。