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読書は一期一会〜2024年10月

「読書は一期一会」というタイトルで、毎月買った本を紹介する月例noteを投稿しています。

2024年10月に買った雑誌・Kindle以外の紙書籍を紹介します。


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「大規模言語モデルを使いこなすためのプロンプトエンジニアリングの教科書」クジラ飛行机(マイナビ出版)2024

「生成AI時代の言語論 (大澤真幸THINKING O 020)」(左右社)2024

プロンプトエンジニアリングは生成AIが最大限のパフォーマンスを出し高品質な出力をさせるために適切な指示や命令を設計するスキルですが、これはまさに今の時代にChatGPTなどの技術と共に注目されている新しい技術です。
生成AIには自然言語で指示=プロンプトを設計していくため、文系出身の人間にも取っつきやすいというのもいい感じです。
10年も経つとデスクワークの仕事のやり方が劇的に変わっているかもしれないと思うと今から少しでもそうしたスキルに馴染んでおきたいなと思っています。

この2冊は同じカテゴリーで選んだ本ですが、前者は具体的なテクニック的な内容で、後者はもっと理論的な話で大規模言語モデルの根幹となる部分を言語学という観点から見ていこう、そんな本なのではないかなと思って購入してみました。

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「「ビックリハウス」と政治関心の戦後史――サブカルチャー雑誌がつくった若者共同体」富永京子(晶文社)2024

「ビックリハウス」は1974年から85年に発行されいたサブカル系雑誌ですが、実はほとんど読んだ記憶がない。
宝島は読んでいたのに、ビックリハウスには何の手がかりが自身にないのが不思議です。
ビックリハウスという言葉は確実に知っている。
だけど、雑誌だったかな?というくらいの記憶しかない。

著者の富永さんは立命館大学産業社会学部で教鞭を取る社会学者で、ビックリハウスという雑誌の読者だった若者世代あたりから政治離れがなぜ起きたのかなどを研究した書籍らしいです。
同世代の人間として、そしてビックリハウスに影響を受けなかった(ひょっとしたら自身が気づいていないだけで影響されているのかも)人間としても興味深い本です。

学生運動はToo Muchだけどやっぱり選挙は行かなきゃ。

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「積ん読の本」石井千湖(主婦と生活社)2024

まさに、自分のための本だ!と書店で平積みしているのを見て即買いしてしまいました。
(即買いなんてしているから本は積まれるんだが。。)

ブックレビュアーの著者が12人の積読者(って言葉はない?)にインタビューをした本です。
まぁ、積読を正当化したいだけなんだけどね。

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「ジャズ深掘りトーク・セッションーミュージシャンが語るライブ・演奏・音源の愉しみ方」魚返明未、井上銘、石若駿(大修館書店)2024

ピアニスト、ギタリスト、ドラマーと今をときめくバリバリの現役若手ミュージシャンの対談というだけでも珍しい(是非読みたい)のに、彼らが日常の「ライブ」「ジャズの演奏」「ジャズ・ジャイアントやミュージシャン、作曲家たち」をテーマに楽器ではなく「トーク」でセッションをするなんて、
なんて素敵な企画の本なんだ。

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「スピード・バイブス・パンチライン: ラップと漫才、勝つためのしゃべり論」つやちゃん(アルテス・パブリッシング)2024

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文(ゴッチ)さんのポッドキャストで知っているつやちゃんさんの著書ということで購入。
出版のアルテス・パブリッシングさんも信頼している出版社ですし。

人の心を動かす「しゃべり」について、ラップと漫才を対比させて論じるなんてなんというアイデア!
キングコングとSEEDA
ミルクボーイとNORIKIYO
ウエストランドとちゃんみな
なんというセンス。
めっちゃ面白い本やん、きっと。

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「コード・ブッダ 機械仏教史縁起」円城塔(文藝春秋)2024

手を出してしまった円城塔さんの本に。。
円城さんはバリバリの理系なのか、根っからの文系の僕には
「ちょっと何を言ってるのか分かりません・・」
という著作が多い印象で。

とは言っても「オブ・ザ・ベースボール」という短編はとても面白く読んだので、あぁまたあんな作品だったら読んでみたいな、という想いから、
「円城塔?ふん、そんなんいらんわ」
とはなかなかなり切れない作家です。
伊藤計劃の未刊の絶筆「屍者の帝国」を引き継いで完成させたというところも、やっぱり信頼に足るというか、とても気になる作家です。

そして、とうとう手にとってしまった円城塔作品。
どうしてこれを読もうと思ったって?
プログラムコードの話だぞ、あっちの世界の話だぞ。
しかし、仏教だよ、仏教。
機械と仏教だなんて、絶対おもしろいに決まっている。
だって、想像もつかないんだから。
試してみる価値はある、はず。

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「大樹館の幻想」乙一(講談社)2024

乙一、懐かしい。。。
しかも何だって?
新作はミステリー?
それだけで、平積から一冊持ってレジに行ってました。

オカルト・ホラー小説は怖くて普段読まないですが、乙一さんの作品はなんだか少し違っていました。
今作も普通のミステリーとは違うに決まっているんだけど、さてどんな乙一節になるのか。
それにしてもめっちゃ久しぶりやん。

ところで、未だに乙一の読み方が分かっていないことは秘密です。

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「ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に」斜線堂有紀(双葉社)2024

斜線堂有紀の作品は「廃遊園地の殺人」と「楽園とは探偵の不在なり」の2冊しか読んだことがありません。
その他のミステリー色薄めというかヤングアダルト系というかラノベ系というかジャンル分けは分からないですが、おっさんが読まないようなものは読んだことがありません。
なので、今作はどちらかというとおっさんが読んでもいいだろう系の斜線堂有紀作品だと思ったので、これも平積みからレジ直行でした。
なんだか不思議なタッチの表紙絵もいいですよね。

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「生殖記」朝井リョウ(小学館)2024

いったいどこまで行くんだ朝井リョウという感じですが。
前作長編の「正欲」は何の変哲もない至って普通の俗にまみれた自分には、ちょっと理解し難い世界を描きつつも、それでもまだ人間界の話でした。

それが今作は。。。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。

amazonの紹介テキストから

はい?なんですって?
同僚と二個体?
いったい何の話ですか?

もはや人間のカタチをした人間ですらない生物の話なのですか?
うーむ、読んでみないとさっぱり見当もつかないが、それこそが読書の楽しみ。
想像もしていなかった世界に連れて行ってもらおうじゃないか。

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「透明な螺旋」東野圭吾(文春文庫)2024

安定の東野圭吾作品です。
一時期は敬遠していましたよ、確かに。
「けっ!電子書籍反対だなんて気取りやがって、そんな作家はこっちから願い下げだ」
なんて思ってこともありました。
ごめんなさい。
はい、紙の本もいいとこありますし、Kindleだけじゃ駄目だってよく分かりました。
そして、東野圭吾の新作はなんて言ったってリーダビリティ抜群だし、読んで面白くなかったことがない。
これはガリレオシリーズで読んでなかったのが文庫になったので。

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「水木しげる厳選集 異」水木しげる、ヤマザキマリ(ちくま文庫)2024

「水木しげる厳選集 虚」水木しげる、佐野史郎(ちくま文庫)2024

書店で何かないかな?と見ていたら水木しげる厳選集が2冊出てました。
それもちくま文庫のコーナーに。
ちくま文庫は僕のイチオシで、売り場では大抵何冊かは読んでみたい本が見つかります。
ていうか、積読を助長する危険な売り場なんですが。
水木しげるさんは多作で数多くの著作がありますが、正直何を読んでいいのか分からないですが、こうした選書があると初心者には入りやすい。
ヤマザキマリさんと佐野史郎さんというセレクターのチョイスがまた絶妙ですよね。

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「ネット怪談の民俗学」廣田龍平(ハヤカワ新書)2024

ネット怪談ていうのが流行っているのか。
なんかそんな感じはしていました。
ていうか、怪談って色んなメディアで今流行っているんですよね?
どストレートな怪談ものはちょっと怖くて読めないけれど「民俗学」として絡めているのであれば、興味深く読みたい。
しかも、これも安定のハヤカワ新書。
ハヤカワ新書の毎月の新刊案内を見ていて、これは予約注文した1冊です。

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「東大ファッション論集中講義」平芳裕子(ちくまプリマー新書)2024

これは東京新聞の広告に載っていたのかなぁ、違ったかな。
何かで紹介していて面白そうだと思った本です。

これはタイトル通り東京大学のそれも文学部で!行われたファッションに関する集中講義を書籍化したものです。
そもそもがファッションについて大学で授業として取り扱われたことはこれまでなかったそうです。
ファッション史なんて研究対象になりそうなのにな。
東大に入ったつもりを少しだけ味わいながら読んでみます。

それにしても、東京大学って面白い授業をよくやっていますよね。
すぐに思い浮かぶところだと、菊地成孔さんが教養学部で行った講義が本になった「東京大学のアルバート・アイラー」とか。
このシリーズはいくつかありましたよね。

それとも、今の大学では東京大学に限らず色んな授業があるのですか?
40年前の関西大学では考えられないんだけれど。。
羨ましい。
僕らはせめてこうして本で読むくらいしか。

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さいごに

今月は本は極力買わないでおこうと思っていたのに、蓋を開けてみると15冊でした。いかんなぁ、いかん。
積読貯めて、積読の本読んで正当化して、さらに積読してちゃいかん。
さ、さっさとnoteアップして3連休は読書三昧と行きたいところです。

それでは!

<了>

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