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ベテラン社員の転職の難しさ

ある程度のスキルと経験を身につけたベテラン社員の転職は、ある意味で難しいところもあります。

それは、会社の中でやれる仕事、やってる仕事、職場環境など転職を考えるきっかけとなる要因と収入の釣り合いです。

ある会社への勤続年数が長くなってくると、右肩上がりに年収がそれなりのレベルに達するケースは、特にIT業界ではたまにある事です。

ところが収入としては充分満足のいくものだったとしても、それが必ずしも満足のいく仕事の結果だとはならないケースがあります。

社歴の長いベテランの社員は、時に「使い勝手の良い駒として使われる」ことがあるからです。

僕が個人的にイメージ出来るのは、ITプロジェクトなんかでいわゆる火消し対応のプロと呼ばれている人たちです。

困った時はとりあえずAさんにいってもらおうよ、そうしたらなんとかしてくれるから。

Aさん=火消しのプロがその役割を楽しんでいるのならば、それはお互いにハッピーな訳ですが、
得てして、本人は「他にいないから」と責任感と少しの諦めで仕方なしにやっているケース。

これは不幸です。

そして、とても日本的です。
外資系ではあり得ないです。
なぜなら、それなりのスキルがあればさっさと転職してしまうからです。

ですが昭和の日の丸親方経営を色濃く残す昔ながらの企業では、往々にして起こり得ます。
会社への無形の忠義心、そんなものがあったりするんです、困ったことに。

さらに、これまでの日本の硬直していた転職市場がベテラン社員に対して満足のいくオファーを出さないというこれもなんとなく出来上がった空気感というか慣習が、スムーズな転職を阻んでいます。

もちろん、スキルのある人にはきて欲しい、だけどあと10年も働いてもらえるか、だったらもっと若手社員に長く働いて欲しいから、そんな気持ちが企業側にはあります。

定年後の人材は無条件で嘱託契約となり、3割カット、4割カットで雇い入れられる、そんな無茶苦茶な慣習も、ベテラン社員の転職後のオファーも安く設定しがちな風潮を産んでると思います。

酷い話です。

心のどこかでは、雇ってあげるからさぁ、みたいな気持ちはあるんでしょうね。

よほどの業界の有名人だとか、その人を雇い入れると箔がつくとか、特定業界にすごい販売ルートを確保しているとか、
そんな人でないとなかなか厳しい。

もちろん、役員として迎え入れます、みたいなケースは別ですが、そんなケースはおそらく前職も役員待遇の人材なので、この話とは少し様子が違います。

つい最近、そんな状況に置かれたベテラン社員がいる事を知ったからです。

モチベーションとしてはもうほとんど残ってない。
やってる仕事も、会社から期待されてる役割もボール拾いみたいものだし、正直収入を餌に体よく使われている。
転職の話はいくつかあるが、収入を維持するのは難しそうだ。
さて、このままあと10年、または5-6年、お金のために心を殺して働き続けるのがいいのか、悩みどころだ。

そんな状況から「現状維持」を選んだために、頼み事はなんでもやってくれるが、自分からは何かやろうとしない、少し目の輝きがなくなったベテラン社員を何人も見てきました。

まさに社畜です。
これは辛い。

まれに、そんな状況でも、ある意味開き直って社内のクラブ活動に精を出すとか、社外活動が活発でFacebookが賑わっている人はたまに居なくも無いですが。

まぁ、そんな出口のない話をつらつらと考えながら帰宅の電車に揺られてます。

お腹すいたなぁ。

※カバー画像は暗雲立ち込めるイメージです。

〈了〉

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