想像していたものとは全く違った映画「ナイトメア・アリー」
こんにちは、makoto です。
映画館で見そびれていたギレルモ・デル・トロ監督の映画「ナイトメア・アリー」
Disney+の配信で鑑賞したので所感を備忘録兼ねてnoteしておきます。
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2時間30分の長尺映画ですが、グイグイと物語に引きずられました。
が、しかし!想像していた映画と全く違った!
映画館で観た予告編以外には全く事前情報を入れずにみたので、色んな意味で勝手にミスリードしていました。
だって、この予告編ですよ!?
そして監督がモンスター大好きギレルモ・デル・トロですよ!?
タイトルが「ナイトメア・アリー」ですよ!?
すっかり、予告編では見せていない異形のモンスターが暴れる映画かと思いましたよ。
そして「悪夢のアリー」なのでモンスターが元は女性だったのか?
ルーニー・マーラ(予告編でも電気椅子でビリビリのシーンがありますよね)かケイト・ブランシェットが変身するのか?とか。
最近の予告編はミスリードを誘うような作りをしますよね、憎いな。
そもそもこの映画はアカデミー賞受賞の「シェイプ・オブ・ウォーター」と違って、原作がある映画だったんですね。
原作はウィリアム・リンゼイ・グレシャムの「ナイトメア・アリー 悪夢小路」
悪夢小路??
そう、アリーは人名ではなくAlley(路地、小路)の方だったか!想像もしなかったな。
そして、モンスターが出てくる映画ではない。 前半、獣人(ギーク)の見せ物小屋で街でさらってきた酔っぱらいをモンスターに仕立てて、というシーンが出てきますが明らかに人間です。
予告編はこんなテキストです。
怪獣的なモンスターは出てこないのですが、それでも異形の生き物について語っています。
これは前半の見せ物小屋での口上からですが、単に
「ギレルモ・デル・トロ監督のモンスター映画だよ」
とミスリードするだけの意味合いでこの口上をクローズアップしているんでしょうか?
それともモンスターを誰かに見立てているのか?
だとすると、主人公のブラッドリー・クーパー演じるスタンに他ならないでしょう。
彼は、病に倒れた?酒で身体を壊した?父親の面倒を見るのに疲れたのか、父を殺して家ごと燃やして出ていきます。
母親の描写はありませんが、早くに無くなったのか生き別れなのか。
その時点で彼はヒトではなくなっていたのかもしれません。
たどり着いた見世物小屋で雇われることになり、同じ出し物をしていたジーナとクレムに読唇術を教えてもらいます。
人を騙すことに意外な才能を見せたスタンはルーニー・マーラ演じるモリーを連れて見世物小屋を飛び出し独立します。
ここまでが前半。
舞台は都会に移り、全くモンスター要素がなくなってきたところで、
「あれ?こういう展開?これはサスペンス映画なんだな」
彼らの読唇術のショーは盛況で都会のホテルで興行を打てるようになっていて、そこそこ儲けているようです。
ただ、どこか行き詰まりを感じていたスタンの前にケイト・ブランシェット演じる心理学者のリリスが現れます。
モリーとは全く違うタイプの女性リリスのどこかに惹かれたのか、リリスと組んでリリスの顧客の富豪達を相手にさらに大儲けしようとします。
ここからスタンの思惑が悪い方へと転がっていきます。
実は前半、スタンの行く末を見透かしたようなセリフが出てきます。
クレムが肌見放さず持っていた読唇術の秘技を書いたノートに興味を示したスタンにクレムが諭すシーンです。
スタンは大儲けするために「絶対にやってはいけない、ろくな事にならない」と止められていた「幽霊ショー」に気軽に手を出してしまうところから、道を誤っていきます。
まさにクレムの言っていた通りになるのです。
自分の才能を過信したスタンの軽い一言のせいで、善良な人が自死をしてしまいます。
しかし、神はスタンを見逃しませんでした。
最後は生き延びて見世物小屋に戻ったスタンが、今度は自身が本当の獣人=モンスターになることを受け入れたところで映画は終わります。
うん、やっぱりモンスターはいましたね。
人間の欲望が一番恐ろしい、人を簡単にヒトならざるものにしてしまいます。
さて、この映画ではどの場所が「ナイトメア・アリー」だったんだろう。
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当初、スタンの役はレオナルド・ディカプリオに頼んだそうですが断られたそうです。
だけど、ブラッドリー・クーパーで良かったと思います。
それにしても彼は多才ですよね!?芝居もうまくて歌もうまくて監督もして。天は二物を与えています。
そして、ケイト・ブランシェット! 素敵。お姉さま。
オーシャンズ8の全身レザースーツのボーイッシュなケイト・ブランシェットも格好よかったですが、こういう役柄のハマること。
これは、お金儲けをそっちのけでも惑わされますよね。
予想していたギレルモ印のモンスター映画では全くなかった「ナイトメア・アリー」ですが、大変面白く鑑賞しました。
それでは!