ユニクロ制服採用ニュースから学校制服について、さらに公共図書館の民間採用について考える
こんにちは、makoto です。
埼玉県の公立高校がユニクロ制服を学校指定として来月4月新学期から採用したというニュースが話題になっている。
この高校は長男が通っていた高校でもあるし、現役高校生の次男もいるため、このニュースは他人事ではなかった。
長男が通っていた当時、男子の制服は詰め襟のいわゆる昔ながらの制服で、(埼玉)県内の学校指定業者で購入する必要があった。そのため価格も上下に替えズボン、シャツを数枚と揃えると10万円近くになる。
自分が高校生だった40年近く前は、ファストファッションやSPAという存在そのものがなかったこともあり、日常の普段着もそれなりに高価だったし、DCブランドブームというのも後押しして「洋服は高価なもの」という認識があったと思う。
それでも今ほどガチガチに指定以外は絶対NGということが(少なくとも僕の通っていた大阪府内の公立高校)なかったため、ある程度形とデザインが同じであれば(詰め襟とかブレザーとか)、三信衣料という庶民向けの衣料品店(今でもあったので驚いた!)だと何割かは安く揃えられたし、ヤンキーの皆さんは裏地に金ラメや虎の刺繍(関西はタイガースだからね)の詰め襟上着を求めて通っていたような店だ。
そういう店で買っても、3万円近くはしていたと思うし、そんなもんかというか仕方ないなという感じはあった。
しかし、今の時代感覚で言うと日常着る制服に5万円以上出すのは抵抗がある。
ユニクロのWebサイトにも導入事例として掲載されている。
新制服検討のきっかけは女子生徒からのパンツスタイルの要望からだそうだ。ユニクロを採用した理由やポイントなどに、豊富なアイテム・カラバリ・デザイン、安価でシンプル、ジェンダーレス、オンラインで購入可能など色々と書いてある。
「会社員みたい」という反対意見もあったということだが(確かに最近のビジネスカジュアルはユニクロ着用が多いので、似てくるよね)、保護者の立場からすれば、やはり経済面での優位性が圧倒的だと思う。
なにせ、上下揃えても1万円程度なのでこれまでの1/4、1/5くらいの価格で購入出来る。
「安い制服だと丈夫ではないのでは?長く着られるか心配」
「オーダーメイドではないので、サイズ感が心配」
など、無理やりな反対意見も報道では出ていたが、
安いからこそ傷んでくれば新しく買えば良い。
秋冬の上着は1着だけで3年間間に合わせようとするため、高学年になるほど、肘がテカテカに光っている学生は多い。。
サイズ感だって、育ち盛りなのでわざわざぴったりサイズを着ている学生はよほど裕福な家のご子息ではないだろうか。1年の入学式には(3年後の事を考慮して)1サイズも2サイズも大きめのブカブカの上着を着ている学生ばかりだ。
これまでの制服と比べて圧倒的に価格優位がある原因は、ユニクロの事例ページのQ&Aにもはっきと書いてある。
そうなのだ。指定業者の言い値で調達することが出来なくなり、しかも相手は安価で品質のよい洋服をつくることをモットーとしているグローバル企業のユニクロだ。グレーな仲介マージンなどは一切排除して市場価格と同じレベルで提供されている。
ただし、全国展開のナショナルチェーンが規模をバックに「安さ」で町の商店をつぶしてしまうことに賛成しているわけではないし、できれば商店街は残って欲しい。
町の本屋どころか市街地の大型書店までがamazonのお陰で経営が厳しくなっている状況には、なんとか歯止めをかけたいとリアル書店や紀伊国屋書店やehon、hontoなどの書店系のオンラインで購入するようにしている。
しかし、この制服問題はもっと別の論理のおかげで「適正価格ではない学校制服としては過剰なスペックで流通していた」ことが背景にあると思っている。
こうした行政関係の調達については、地域ごとに指定の業者があって入札ではなく随意契約で云々、というような同じ話があるだのが、だからといって民間調達を推進したほうがよいとまでは思っていないことは、誤解を招かないように強調しておきたい。
要は「適正価格かどうか」という話だ。
これも難しい議論なのは分かる。
「適正価格=市場流通価格」と安易に定義してしまうと、安く提供できるものが勝ちなんだよね、という不幸な新自由主義に飲まれてしまうことになる。
民間調達でいつも思い出すのは、福岡県武雄市のTSUTAYA図書館の話だ。
これなんかは最低の事例で、CCCに公共図書館の一切の委ねてしまったので「いかに効率よく経済的に運営できるか」という市場論理を公共サービスに持ち込んでしまったため、おかしな話になってしまっている。
CCCはグループ会社のネットオフから仕入れた大量の中古本で棚を埋めてそれらしく見せていた、という話もあるくらいだ。
図書館の指定管理に関する話はまた別の大きな話題になってしまうので、ここではこれ以上突っ込まないが、「公共図書館の役割」をしっかりと理解した上での民間とのコラボには意味はあると思う。
イオンモール内にあるつがる市立図書館が好例だろう。
自分たちの所属する自治体の特性と、それに根ざした市立図書館のミッションがしっかりと図書館運営に反映されている。
フレデリック・ワイズマンの傑作ドキュメンタリー「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を観た時にも思った、公立図書館の本来あるべき姿について、文部科学省はもっと真剣に考えた方がいいと思う。
話がだいぶと外れてしまった。
学校制服である。
これまでの歴史ある学校指定業者の制服なのか、ユニクロの制服なのか、と議論する前に、そもそも学校制服は必要なのか?という論点も打ち込んで終わりたいと思う。
うちの次男は私服OKの高校に通っている。
都立高校も基本的には私服だと聞いている(大阪出身なので都立高校事情は分かりません)。
当初は「私服通学だと制服よりお金がかかるんではないか?」と思ったことも事実だが、なんのことはない。
最近の高校生、ファストファッションを上手に着回しているし、派手にならないようにシンプルなデザインを選んで着ている。
むしろ、指定制服を買うよりはるかに安上がりなのではないか?
体育や部活がある日には、学校ジャージで通学しているので(むしろ指定ジャージが高価だ)、以外と私服なんか着る日は少ないのだ。
私服だから華美になるとか、だから何なの?とも思うし、そういう昭和の価値観では全くお話にならないようにも思う。
お揃いの制服を着用しないと学校としての統一感がないとか、規律を正す、とか愛校精神を養うとか、そういうことを宣っている時点で、教育者は自分の役割を放棄しているんではないだろうか。
いかん、熱くなってしまった。苦笑
今日はここまで。皆さんはどう思われますか?
それでは!