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中学生の頃 初恋

小学6年に上がるとき、またもや父の転勤で勝山へ。ただ県北の雪国でなんと事件が起きる。続きは後ほど。

小学校を卒業し、勝山中学に進学。黒い制服、黒いカバン。勝山にもだいぶ慣れてきて、成績も上がってきて、3番くらいだったかな、背も少しだけ伸びて、凄くいい感じで過ごせていた。

部活は吹奏楽部。担当は金管楽器でトランペットとコルネットを吹いていた。部員は20名くらい。担任の先生が音楽の先生で誘われて入部したのだ。

小学6年の頃、少し気になる子がいた。髪はショートで瞳がぱっちりとした和美さんだ。修学旅行でバスが一緒で話す機会があった。そのあと何度か家にも遊びに行った記憶がある。背が高くてすらっとしてて、修学旅行のときも旗を持って先頭に立っていた。

吹奏楽部入部初日に事件が起きた。その和美さんが先に吹奏楽部に入部しており、クラリネットを担当することになっていたのだ。

まさに晴天の霹靂。目があって、あーってお互い指を差し合ったのだ。気恥ずかしくもあったが凄く嬉しくて、放課後が楽しみになっていた。初恋である。

時々一緒に帰るときもあった。よく小さな手紙もくれていた。勝山は旭川が流流と流れ、石の橋を渡り、小さい商店街をそよ風が抜けていく。そんな素朴な街であった。夏祭りは楽車祭り。ぶつかって激しいのだ。秋には吹奏楽部のコンクールにも出場した。県北の冬は厳しく雪がよく降った。

しかし、天気は読めないものである。中学2年に上がるとき、またもや父の転勤で岡山に引っ越すことになる。

彼女との別れ、手紙書くね、岡山でも元気でね。うん。

またすぐ会いにくればいいと思っていたが、何回か手紙のやり取りをしたあと、もう会うことはなかった。

宝物のような時間だった。友達もたくさんできた。何故か先生に勧められて一年生なのに生徒会にも立候補した。別れの日は教室でコルネットを吹いた。周りからも窓からも人の姿が見えた。

担任の先生が次の日、父母のところに会いに来られた。しばらく居てもらえないかと。吹奏楽部のこと、学級のことで大変になるからだ。

そのときはさすがに涙が溢れた。ひとりでここで生きていくことさえ考えた。

坂の上にある白い校舎。吹奏楽部の板張りの部屋。皆んなと一体となって楽器を猛練習した夏。

とても自分のことではないような夢のように眩しいキラキラした想い出である。




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