アナログゲームに関する私なりの想い等
最近は、自分で伝えるよりも簡単かつ確実なので、
與那覇潤,小野卓也 共著『ボードゲームで社会が変わる:遊戯するケアへ』
河出書房新社
という本を積極的にご紹介し、お勧めすることにしています。
昨年11月、たまたま立ち寄った書店でこの本を発見した時の驚きは今でも鮮明に覚えています。私の日頃の思いが、まさにそこに書かれていました。
しかも、より深く、実体験を伴った説得力のある内容として。
以来、すごく気が楽になりました。
この本をご紹介したり、お渡ししたりするだけで私の気持ちを代弁してもらえるようになったからです。
本書の中にも書かれていることですが、
既存の社会生活の中では、少なからず肩事きや立場、性差など、
コミュニケーションが始まる以前の段階で、
お互いに置かれた環境の違い、出自の違いが、必ず出てきてしまいます。
そして、そのことがコミュニケーションそのものに大きく影響してしまうことは避けられません。
しかし、アナログゲーム(ボードゲーム)の場においては、
ゲームのルール設定に従ってコミュニケーションを行い、
それがコミュニケーションのすべてですので
参加者それぞれのバックグラウンド等は一切関係ありません。
本書の中でも、デイケア施設内で、自開症の傾向が強い人がボードゲームへの参加を繰り返していくうちに笑いながら冗談なども言うようになった、という素敵な話が出てきます。
障害者等に限らず、一般市民の全員が、
コミュニケーション面において、どこかしら少なからずストレスを抱えているだろうことを思うと、
このようなアナログゲームの効力は決して侮れない大きな可能性を秘めています。
その可能性を最大限に引き出す上でのキーワードが、
「社会的に役に立つような目的を決して設定しないこと」、
言い換えれば
「遊ぶために遊ぶ、遊ぶことに徹する」ことだと思います。
本書の小見出しにも書かれている通り、
まさに「目的は遊びの大敵」です。
大人も子どものように真剣になって遊ぶ。
その過程を通して、自ずとその人なりの社会性も少しずつ養われていく。
本来そういうものであって、
初めから"社会性を養うために”遊ぶのでは本末転倒であり、
そもそも"遊びとは呼べない、と思っています。
大人こそが子どものように真剣になって遊ぶ。
そういう場面がもっと増えたら、世界の姿はどんどん変わっていくと思います。