TABI 2021 三点セット
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佐々木香織 インスタグラム → instagram
旅のはじまり
clubhouseというアプリが流行り、お茶関連のルームに入って会話をしていた今年2~3月頃。今年もお茶の販売を継続するか否か。全く白紙の状態でした。
商品を作るときに大事にしていることは、何を伝えたいのか。ということ。
それは私の専門である音楽制作をしている時も同じでした。
どんなメッセージをこの曲から伝えたいのか。ゴールをしっかり決めるということ。そのゴールがはっきり明確であればあるほど、伝わる熱量、そして音楽としての作品が輝きを増すのです。
この時の私はまだ何も見えていませんでした。しかし会話する中で私に大事な言葉を届けてくださった方がいました。
「あなたが飲んでいるお茶、あなたが見ている景色。それを私も同じように感じたい」
この言葉が私の心をとらえて離しませんでした。
この数年間、楽しいことを共有する機会を奪われていたことは間違いありません。
入学式、卒業式、お子さんの成長を家族全員で喜ぶこと。コンサートに行って大好きなアーティストの音楽に熱狂すること、職場での歓送迎会、旅行に行くこと。
この時とても身長が高くなっていたね。この時凄くカッコいいライブだったよね。あの景色また見に行きたいね・・・
そして少しづつ私の頭の中にゴールが見えて来ました。
旅をしている。そんな気持ちになってもらえる商品を作ろう
ここから私のお茶の旅がスタートしたのです。
八女茶 (福岡県八女市黒木町笠原地区)
2021.4.16(金)
今年は例年と比べあたたかい日が続き、全国的に茶の生産時期が早まりました。
例年であれば4月25日前後から始まる摘採。今年、八女市の笠原地区では4月15日から摘採が始まりました。
訪問する2週間前から体温の記録。感染症に気を使いながらの農作業。移動がはばかられるような状況の中で、県外から八女市へ茶の農作業におもむく人の数は減っていました。
お茶は待ってくれません。茶を摘みたいときに人手が足りなければ茶を作ることが出来ないのです。
当初は4月25日ごろから八女市へ向かう予定でした。
「来る予定を早められるのでしたら、すぐにでも来て欲しい」
この言葉を聞いて、気づいた時には飛行機のチケットを取り直していました。
昨年は緊急事態宣言で行くことが出来ず、今年2年ぶりにお会いした農家様方は、私のことを覚えていてくださり、暖かい言葉をかけてくださいました。
「かおりさん、来年も待ってるからね」
もう既に私の中で笠原の皆さんは家族のような存在です。
茶畑の近くには竹林も多く、ときには茶畑のど真ん中にドーンと竹の子が生えている場合もあります。
2年前、笠原を訪れた際、茶畑の脇にひょっこり生えていた竹の子を取って私にくれた農家さん。今年も竹の子を取ってくださいました。
その竹の子を使って作る「竹の子グラタン」は毎年、自炊する中でナンバー1のご馳走です。
そして今年私が選ばせて頂いたお茶。一つは誰もが思う上質な八女茶。
うま味がしっかりとあり、美しい緑色。キリッとした火の香りと飲み終わった後の清々しい香り。
しかし私はもう一方の茶を選びました。
風のにおい、八女市笠原地区の風景。そしてお世話になった農家さんの姿が浮かんでくるお茶でした。
伝えたいのはこの風景であり、ここの人々。
皆様にも是非感じて頂きたいです。
和束茶 (京都府相楽郡和束町原山地区)
2021.5.3(月)
京都はここ最近ご縁があって何度か訪れている場所。しかし和束町に来るのは初めてです。
八女市でも十分に急こう配なのですが、和束町に着いてみてビックリ。
「うわーっ、これは大変ですね!」
山の斜面全体が茶畑になっていて、しかもその数の多さ。
この様な場所には乗用型摘採機、いわゆる車のような、お米のコンバインのような機械で茶を摘めません。2人で機械を持って刈っていく可搬型摘採機でやるしかありません。
あの山を登って・・
そのご苦労。そして自分に果たしてできるのかという不安がよぎりました。
そしてもう一つ大きな出来事。
今年、ここ和束町の地域でお茶が霜の被害に遭ってしまいました。
山の急こう配と同時に驚いたのが、防霜ファンの多さ。
場所によっては5mおきに?というくらいの間隔で設置されている茶畑もありました。
これだけの数の防霜ファンが設置されていても、被覆のためのシートを被せていても、碾茶用の棚掛けをしていたとしても、気温が氷点下数度を超えて冷え込んでしまったらどうにもならないのです。
和束町に来たばかりの時の気温、夜は部屋の中で10℃くらいまで冷え込む日もありました。とても寒暖差が激しい地域です。本来であればその気候が上質な茶を育んでいくのでしょうが・・
春、一斉に芽を出す一番茶。それが霜の被害に遭うと、全くそろいません。
芽が出ているところ、出ていないところがあり、茶を刈っている畝の途中でUターンして次の畝を刈っていく場面も沢山ありました。
和束町でも原山と呼ばれるこの地域は、大変な山間地、急こう配な場所です。そして素晴らしい香気を持った茶が生産される場所でもあります。
各日に摘まれた煎茶、全てを試飲させて頂きました。しかし私は選択することが出来ませんでした。
でもはっきり見えるのです。この茶畑は素晴らしい茶が生まれる場所なんだということが・・本当にもどかしい思いでした。
途方に暮れる中で見つけたのが碾茶。
この碾茶とは抹茶の原料。石臼などでひいて抹茶にするための茶。和束町では碾茶の栽培も盛んです。
碾茶を淹れてみた時、何とも言えない繊細なうま味と香ばしさ。そして出がらしを食べても美味しい。
お湯をさして淹れるだけではなく、そのままポリポリと食べたり、おにぎりに混ぜてみたり、出がらしをバナナ、牛乳と混ぜてスムージーにしてみたり、佃煮を作ってみたり、楽しみが沢山広がっていく。そんな可能性のあるお茶に感じたのです。
苦しい中から発想の転換。
皆様もこのお茶で楽しみを発見してください。
久保農園(和束茶)→ お茶生産農家様ですが、和束茶カフェにて茶葉販売もされています。
白川茶 (岐阜県加茂郡東白川村地区)
2021.6.13(日)
ずっと訪れたいと思っていた茶産地。そして今回訪問するきっかけ、ご縁を頂いたのもインスタライブからでした。
双方の想い、考え、タイミング、それらが合う瞬間。出会いとはどれだけ奇跡的なことなのだろう。
鉄道に乗っていくとガラッと景色が変わり、そこは無人駅。しょっぱなから洗礼を受けてしまいました。
秘境と呼ぶのにふさわしい。山に囲まれ、驚くほど透き通った川が流れ、神々が住んでいてもおかしくないと思わせるような、ゆったりとした空気が流れる場所。
ここ東白川村にある白川茶 発祥の地と呼ばれる場所を訪れました。
茶の実を持ち帰り、現在までそれを残してくださった沢山の人々。今生きてそれを享受できることの喜びをかみしめていました。
茶の仕上げ工程、茶師のお仕事とはどういうものかを知りたくて3日間、ずっと張り付いて見学していました。
茶畑を見ること。
荒茶工場を見ること。
農家さんとは二人三脚。コミュニケーションをしっかり取り、その人柄までも受け止める。
荒茶をしっかりとみて仕上げ茶のイメージをし、選別、火入れ、ブレンドをしていく。
茶師の神髄を見た気がしました。
火入れ一つを取っても、2℃違っただけで全く味の印象が変わる。
季節や気温、湿度によって全く違う茶が出来上がる。何℃で何分火入れをすれば良いという単純なことではない。様々な要素が絡み合って出来上がっていくのです。
今年はここ東白川村も多くの場所で霜の被害に遭ってしまいました。
沢山の茶を試飲させて頂く中で、それはわかっていました。それでも私はどうしても首を縦に振ることが出来ませんでした。
茶を目の前にし、噓をつくこともできなければ誰かのせいでこうなったわけでもない。どうしようか。結局その日に答えを出すことができませんでした。
次の日の朝、天気予報は雨だったのに、信じられないくらい気持ちよく晴れていました。
茶工場の外にあるテーブルに急須と茶碗を用意し、お茶を飲みました。
今、私はこうして東白川村に来ることが出来て、気持ちよく晴れ渡る空の下、お会いしたいと思っていた茶師の方と共に茶を飲んでいる。
茶を飲むと、そこにははっきりと農家さんの姿、茶畑の風景、茶師の姿がありました。
自分の考えていたことは、なんてちっぽけだったのだろう。ここに茶があるじゃないか。
霜に当たった、とかじゃない。この茶になるまで沢山悩み、苦しみ、様々な想いを持って作られてきた。それで十分じゃないか。
私は何を求めてここに来たのか。自分が恥ずかしくなりました。
結び
八女市、和束町、東白川村の人々は私に茶を預けてくださった。
お茶は信頼の証
東白川村を訪れる前日、6月12日は鮎釣りの解禁日。
私は鮎を釣りに川へ行ったにもかかわらず、ツチノコを釣ってしまった。のかもしれない。
茶蔵園(白川茶)→ 茶の仕上げ加工、そして加工された茶の直営店でもある道の駅の経営もされています。オンラインショップで茶の販売もされています。
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