【写真詩】再会の彼岸花【短文朗読】
☆所要時間:2分
☆人数:1人
もう一度
会えるのではと
花々の隙間を縫って
あなたを探しました
今もその声を覚えているから
微かにでもと
耳を澄ませて
もしかしたら
分かたれた
その遠い地と繋がる
手がかりはないものかと
ちょうどあなたの掌くらいの
紅赤(べにあか)の花に
手を伸ばし
そっと花弁に触れながら
あなたに会いたいと
顔を見て
言葉を交わしたいと
どうかどうか
あなたに会えますようにと願いました
嗚呼
でも
伝えたい言葉が多すぎて
零(こぼ)れた想いは
声になってくれるでしょうか
もう一度
もう一度
影を探すほど
視界は滲(にじ)むばかり
それでも
再会の花言葉を信じて
探してしまうのです
けれどもし
もう一度
会えたならば
もう一度
別れなければなりません
果たすべきことがある私には
あなたの居る場所へ
まだ行くことができないのです
私はその悲しみに
耐えられる自信がありません
今度こそ
溢(あふ)れる涙を止めることも
立ち上がることもできないかもしれない
それなのに
それでも
あなたの姿を
声を探してしまうのは
きっと寂しさからだけではないと思うのです
なぜなら
あなたは
私のこれまでを創ってくれた
道標(みちしるべ)だったのですから
写真お題
#綿帽子のキリトリ世界 より
詳しくは台本利用時のお願いをご参照ください。