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2023.夏 不完全燃焼の男たち
第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップの決勝戦が10日、台湾の天母野球場で行われた。
侍ジャパンU-18代表はチャイニーズ・タイペイと対戦。
2ー1で勝利し、悲願の初優勝を果たした。
今大会、主役はみんな、、、といいたいところだが
特に印象に残ったのは
馬淵史郎監督(明徳義塾)
前田悠伍(大阪桐蔭)
緒方漣(横浜)
の3人だ。
3人にはある共通点がある。
・
・
・
そう、今年の夏甲子園に出ていない。
しかし、彼らの大会といっても過言ではないくらい。
馬淵さんは監督として
前田は日の丸エースとして
緒方は打線の軸として
チームを引っ張った。
「バントができる選手を20人選びました」決勝で選考理由の真意明らかに
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↑残り数少ないみたいです!!
馬淵監督が代表メンバー発表の際、このように言った。
「日本の高校野球の特徴であるしっかり守って機動力を使える、バントができる選手を20人選びました」
俗にいうスモールベースボールだ。
引用↓
しかし、私はこの選考に疑問を感じていた。
やはりある程度、長打力も必要。
以前の記事でも述べたが、3月のWBCでは海外よりも力で勝てる野球ができるようになってきたなと。
今回のメンバーは正直長距離打者が少ない。
中距離打者が非常に多い。
あとは個人的に、甲子園優勝校の慶應義塾から丸田湊斗のみしか選出されていないのも、うーんって感じ。
慶應義塾こそ、延末藍太や渡辺千之亮など長打を打てる選手が数多くいる中、馬淵監督は日本のスモールベースボールにこだわった。
決勝の対戦相手チャイニーズ・タイペイの先発投手は孫易磊投手。
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なんと、今大会で自己最速の156キロを計測。
まだ、18歳だよ?(笑)
バックネット裏ではメジャーのスカウトも驚いてたみたい。
引用↓
でも、そう考えたら高校時代に160キロ出してた、大谷翔平と佐々木朗希はいかにバケモンってことが分かるよね
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日本代表は初回からランナーをためるも、好投手から得点をなかなか奪えない。
逆に相手に先制点を許し、1点を追いかける展開となる。
2、3回と3者凡退に抑えられ、迎えた4回。
何とかこの好投手を打ち崩す方法はないのか。。。
先頭の3番緒方が四球で出塁すると
なんと4番の武田陸玖(山形中央)が送りバント。
今大会好調の武田だったが、ここで「バント」
すると、5番の丸田がここでまた「セーフティーバント」
馬淵監督が試合後のインタビューで明らかにしたが、丸田自ら志願したみたいだ。
一塁はアウトになったが、リクエスト検証の結果セーフに。
そして6番の高中一樹(聖光学院)に打席が回る。
ここまで四球、「バント」、「バント」。ノーヒットでランナーをためた。
高中はスクイズを敢行。
すると、相手の送球ミスを誘い、一塁ランナーの丸田も生還。
「バント」でもぎ取った2点だった。
馬淵監督のあの時のコメントを思い出してみよう。
「バントができる選手を20人選びました」
偶然ではない。
あの場面で失敗したら、3塁ランナーもアウトになる可能性もある。
バントができる選手⇒どんな場面でも100%に近い確率でバントが成功できる選手と解釈した。
この2点が最終的に決勝点となった。
孫易磊投手はパワーピッチャー。
他国を見ても、ずば抜けて早いのは確か。
日本打線もこのままヒッティングで対応するよりかは小技で勝負が理にかなっていたのかもしれない。
優勝を決めた瞬間、馬淵監督の目には涙が。
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昨年もUー18代表監督として指揮したものの、ワールドカップの結果は3位。
悔しさを味わい、リベンジとして臨んだ今大会。
自分、そして選手を信じ掴み取った初優勝だった。
7回92球5奪三振、エースの熱闘
今大会で一番輝きを放っただろう。
彼がいなかったらおそらく決勝へも進んでいなかったかもしれない。
日の丸のエース・前田悠伍
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4日 オープニングラウンド アメリカ戦
7日 スーパーラウンド 韓国戦
10日 決勝 チャイニーズ・タイペイ戦
日本にとって宿敵となる相手に先発し、全て勝利を収めた。
決勝戦は一人で投げ抜き、完投勝利。
初回のピッチング。1アウト3塁から3番打者にタイムリーを許したが、後続を120㌔前半のチェンジアップで空振り三振で抑え、最少失点で切り抜けた。
ここが今回のターニングポイント。
ピッチャーにとって一番難しいといわれている、「立ち上がり」
ここまで全勝で来ているチャイニーズ・タイペイ打線を相手に、先制点を許したはものの、後続をしっかり抑えた。
その後も、前田の真骨頂である140㌔後半の直球をしっかりコースに投げ分け、相手打線に主導権を与えないピッチングを披露。
2回以降はピンチを迎える場面もあったが、被安打2と完璧に近いピッチング。
チャイニーズ・タイペイ打線が前田の針の穴に糸を通すようなコントロールで見逃し三振を喫するシーンも目立った。
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後半になり球が多少浮くこともあったが、球威が勝って外野フライ。
今夏、甲子園出場を逃し、非常に悔しい思いをしていたはず。
甲子園期間を通して直球と変化球全てにおいてレベルアップした。
私は大阪大会の決勝、履正社戦を少し見ていたが、明らかに球の精度が違う。
直球の空振り率が非常に高い。相手打者もボールの下を振っている。
大会前の壮行試合。大学日本代表と対戦した際も、強力打線を前に引けを取らないピッチングを見せていた。
間違いなく今秋のドラフト1位候補。
今の球質だったら、一年目で二桁勝利も夢じゃない。
いや、彼は現状維持で留まらない。
あの敗戦が今はプラスになっている。
もっとレベルアップしてプロのマウンドに立つのだろう。
大会MVP、下位打線から恐怖の3番打者へ
首位打者、最多得点、ベストナイン
優勝合わせて4冠🏆
大会MVPに輝いた緒方漣。
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とにかく打って、打って、打ちまくった。
初戦、2戦目と7番、6番で起用されたが
2試合で脅威の6打数6安打。
活躍が認められ、3戦目のアメリカ戦から3番打者として打線の中軸を担った。
3番打者としても好調を維持し続けた。
彼がベース上でKポーズ(慶應義塾から由来)したのを何度見たことか。笑
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守備でも本職のショートではなくセカンドとしてフル出場。
昨日の決勝戦も、センター前へ抜けそうな当たりを正面から入って丁寧に捌き、難なくこなした。
彼は一年生から横浜高校のレギュラーとして試合に出場しているが
センスの塊とはこの選手のことかなと。
神奈川の予選を見ていたが、捕ってから送球までが鬼早い。
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そんな彼も甲子園の出場は叶わなかった。
神奈川県大会の決勝で2点リードの9回
無死一塁から二ゴロ併殺を狙ったプレー。
遊撃手の緒方が二塁ベースを踏んでいないとジャッジ(記録は遊撃手の失策)され、その後に逆転3ランを浴びるなどで甲子園出場を逃していた。
引用↓
このプレーをきっかけに色々と高校野球もリプレー検証の導入など議論が高まった。
記事の字面だけ見ると彼のプレーが敗戦につながったように聞こえてしまう。
ただ彼もこのプレーをきっかけにまた甲子園期間でレベルアップした。
決勝で敗れた慶應義塾が甲子園優勝。
ただ、私が見る限り慶應義塾に一番勝つ可能性の高いチームは甲子園出場校を含めても横浜高校だったかもしれない。
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そして、こうして丸田と日の丸を背負って共に戦い、緒方が打ったらKポーズ、、、
高校野球っていいな、、、
泣けてくるわほんと、、、
日本代表初優勝の立役者として今回3人を挙げた。大会初優勝で3人の夏は完全燃焼した。
甲子園に出場した選手はもちろん、出場してない選手にもポテンシャルの高い選手はたくさんいる。
来年プロ野球を見ていたら
「あ、あの時U18で出てた選手だ!」
ってなる選手が何人出てくるのか楽しみです😄