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バナナ寿司とSHOGUN(将軍)

日本の戦国時代を描いた、米国のテレビドラマ『SHOGUN(将軍)』を観た友人(アメリカ人)が、こんな感想をもらしていた。

「(武士の)規律正しさ(discipline)にぐっときた」と。

学生時代からの友人は、互いに遠慮のない間柄。私に「服がコンサバすぎる。ファッションはロックに、とがって攻めろ!」なんてアドバイスする、自由気質な舞台俳優だ。

なのに「サムライの規律」が心にささっている。

スタンダード(ふつう)がある国

『SHOGUN』をプロデュースした、主演の真田広之さんは「これまでハリウッドで描かれてきた日本に違和感があった」から、小道具や衣装、配膳から話し方や立ち振る舞いまで、細部にこだわったという。

そこまでして世界観を表現したからこそ、当時の規律が何であるのか、伝わったのだろう。

その友人いわく「建国の歴史からしても、米国は長きにわたって築いた”スタンダード”(標準、ふつう)がない。自分たちにないからうらやましい」

たしかに今を生きる私たちは、戦国時代のような"スタンダード"はないけれど、「"ふつう"はこうだよね」とよく会話している。米国社会は多様だから「ふつうって何?」と聞かれてしまう。

プエルトリコで人気の寿司

"スタンダード"といえば、世界では日本のふつうではない寿司がいろいろある。

プエルトリコ人の友人が教えてくれたのだが、現地で人気の「バナナの寿司」だ。

カリブ海中心に中南米諸国で食されていて、「スシ・ラティーノ」「スシ・カリベ」などと呼ばれている。

正確にいうと、「バナナの寿司」に使われているのは、私たちが食す果物のバナナの親戚(同じバショウ科)で、プランテンとよばれる、調理用のバナナだ。加熱するとおいしい。

「バナナの寿司」はプランテンを揚げ、アボカドやキューリと一緒に巻いて食べる。カリフォルニア巻き(アボカドやカニカマなど)のカニカマがバナナになった感じだ。

土台をリスペクトする

カリフォルニア巻きも最初はのけぞったけれど、サーモンとクリームチーズの「ニューヨーク巻き(フィラデルフィア巻きともいう)」は食わず嫌いだった。しかし、まもなくやみつきになり、子どものころ母が握ってくれた「チーズおかかのおにぎり」を思い出したりもした。

"スタンダード"の寿司にアレンジを加える。イノベーションをする。

寿司の国の「ふつう」からみたら一見、突拍子もないようで、土台をリスペクトしているからこそ、創造力がわいてくるのだろう。

ところで、バナナ寿司の原料となるプランテンは、フィリピン食材店にあるらしい。

カリブ海に飛ぶのはすこし先になりそうなので、家で「バナナの寿司」を作ってみようかな。

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斉藤真紀子
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